{第七十四話} ゼェゼェ...ハァハァ...
オレがもし、ギルドに入るとしたらここにだけは入らないだろう。
何故かって?数を誇るヤツが好きじゃないからだ。
そうこうしていると姫様は店員さんとの話しが終わったらしく、オレの隣に立っていた。
「用事は終わったのか?」
「はい、結局欲しかった物は見つかりませんでしたが」
結局何を姫様が探していたのか分からないが、まぁいいか。
それはさて置き、この後はどうしようか?
姫様に今後の予定が無いなら、地下ダンジョンに入ってみたいな。
第一階層位なら姫様を連れ行っても問題無いだろう。
「この後の予定は?」
「今の所は特に無いですね」
チャンス到来だ。
「じゃあ、地下ダンジョンの方に行ってみたいんだが?」
「面白そうですね、いいですよ」
姫様の許可をゲットしたから、あとは一応おじさんの許可を貰っておこうかな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「今冒険者組合に居て、せっかくだから地下ダンジョンに入りたいから許可をくれ」
「何回層までもぐる気だ?」
「一階層でダンジョンの雰囲気を味わいに行くだけだが?」
「よかろう、許可する!」
「やったぜ!」
「一応用心はしておけよ?入り口で五階層までは地図が無料でもらえるから貰っておけ」
「おk」
「アレだけ渡しておいたから問題無いとは思うが、五千ギルはもって置けよ?」
「了解」
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おじさんからも許可は貰ったし、五千ギルはもちろん持ってるし。
一体何に五千ギルも使うのだろうか?ダンジョンへの入場料かな?
それにしても返信が早かったな、暇なのかな?
ここが地下なせいか、スマホの電波が地上に比べ少し弱くなっている。
普通に使う分には問題ないと思うが、ダウンロードやアップロード速度が少し下がる程度だろう。
「おじさんのからも許可を得たし行こうぜ?」
「はい」
ショップ街を置くに進み、突き当たりにある下への階段を降り地下二階へ。
地下一階は舗装され、テパートの地街の様になっていたが、地下二階は壁が土で洞窟だ。
両側の壁には一定間隔で松明が刺さっている。
洞窟の入り口を見られる所には男性が一人立っていて、入っていく冒険者はその男にお金を渡して入って行く。
ふと入り口横の壁に目をやると掲示板があり、何処の階層までもぐれたかのランキングが今までのトータルと「月別」「週別」「日別」に分けられ書かれていた。
ちなみに、トータル一位は「菊田京一」と書かれ名前の横に「四十九階層到達!」と書かれていた。
二位にネイ、三位にネラの名前が書かれている。
ランキングは五位まであり、四位は「ビル・ディーラー」で三十三階到達、五位には「マイケル・クリントン」で三十一階到達と書かれていた。
ミイに聞いた話を少し違うが、冒険者のレベルが上がったのだろう。
「何だ?ダンジョンに入るのか?入場料は五千ギルだ」
「オレはダンジョンに潜るのが初めてだから、ダンジョンの地図をもらえないか?」
「そうか、ほらよ」
五千ギルと交換と言った感じで一階層から五階層までの五枚組みの地図を貰った。
「初めてならコレが必要だが持ってるか?」
男は謎のドッグタグを見せてきた。
「コレはなんだ?」
「オレにも良く分からないが、到達した階層がわかるらしい。ダンジョンに潜る時は必ず持っておけ、持ってないヤツはダンジョンには入れられない」
見せてもらったドッグタグには冒険者組合のマークが彫られていた。
「なるほど...で、何処でそのドッグタグは何処でもらえるんだ?」
「持ってないのか?」
「ああ」
持ってるどころか、存在すら知らなかった位だが?
「一階の受付で冒険者登録したらもらえるから、登録して来い。取り合えず金は換えすから登録してこい」
男から金を返して貰って、急いで一階の受付へ。
「おいおい、聞いてないぞ?」
「すいません、忘れていました」
「そう言う事もあるさ」
ミイは悪くない、だってカワイイから!カワイイは正義だ!異論は認めん!
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「ゼェゼェハァハァ...」
階段を駆け上がり、ショップ街を走りぬけ、また階段を駆け上がって一階の受付まで走ったお陰で意気が上がり、息切れが激しい。
日ごろの運動不足がこの世界に来てから、チラチラ顔を見せる。
こんな体でダンジョンに潜ってモンスターを倒せるのだろうか?
「す、すいません...ゼェゼェ、冒険者登録を、ハァハァ...したいんですが...」
今思ったが、なにも走ってくる必要は無かったんじゃないか?
今更遅いけどな。
「は、はい分かりました。何か身分等を証明できる物はありますか?」
尋常じゃない位に息切れしたオレを見て、受付のおねえさんは少し同様している。
おねえさんに話しかける前にすればよかったんだが、一旦呼吸を落ち着かせる。
身分を証明できる物は住民証があったな、あとは貴族のバッジも証明になるかな?
「コレでいいでしょうか?」
ティアドの住民証をおねえさんに渡し、胸に着けたバッジを指差した。
「あ、自警団さんのバッジですね」
白銀と銀で似ているせいか、おねえさんまで間違えている。
確かに色は似ているが、自警団のマークと貴族のマークで彫られているマークが違うはずなのだが、近くで見ないと分からないのか?バッジえを見ただけで一瞬で区別出来無いなんて、意味がなくね?
これは後でおじさんに抗議だな。
「いや、違いますよ。良く見てください」
自分のスーツの襟を引っ張り、おねえさんの方に近づける。
「これは、京一家の方ですね。まさか貴族の方だったとは、とんでもない無礼を失礼しました」
何故か一生懸命謝ってくるな、何故だ?あ、アレか!「貴族である私になんと言う無礼!」的なノリが始まるヤツか、異世界ならあるあるだろう。
オレはそんな事言う気はまったく無いし、きっとおじさんも間違えたあねえさんより、間違えるような似た色のバッジにした自分に反省しているだろう。
「大丈夫ですよ、見間違えやすい似たような色を使っているオレ達が悪いんです。今度、見間違えないような色への変更を検討しますよ」
一応、おねえさんを怖がらせないように出来るだけやさしい口調で。
「ありがとうございます」
「いえいえ、では冒険者登録の方をお願い出来ますか?」
「はい、こちらの用紙に必要事項を記入して下さい」
おねえさんから用紙をボールペンを貰い、必要事項を記入「本名(フリガナ)」「性別」「年齢」「住所」などなど。
「貴族の方なので住所は書かなくても大丈夫です」
よかった「住所って何処?」と丁度なっていた所だ。
それより、姫様をどうするかだよな。
姫様はミイとレストランで何か食べている。
ミイは皆に見えてないから問題無いとしても、姫様はマズいでしょう。
性別と年齢なら問題無いと思うが、本名はマズイだろう。
一発で姫様だとバレるに決まってる。
どうしたものか、取り合えずおじさんに相談しよう、そうしよう。
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「ダンジョンの件だが」
「どうした?」
「冒険者登録を現在進行形でしているんだが、姫様はどうしよう?」
「あ、察し」「分かった、オレから組合に連絡しておく」
「サンガツ」
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