{第七十三話}五大ギルド

「はい、お待ちしています」

店員さんとの話しがひと段落したので、さっきまで姫様が居た方を見ると姿が無い。

ん?んん?

周りを見回して姫様を探していると、オレが姫様を探している事を察したらしい。

「お連れのお客様なら、先ほど出て行きましたよ?」

と、ご丁寧に教えてくれた。

教えてくれた店員さんに頭を下げて、ショップを出た。

辺りを見回すと、姫様が別のショップに入っていくのが見えた。

姫様を追いかけ、急いで店屋に入って辺を見回し姫様を探すと、また店員さんと話していた。

さてと、ここは何処のギルドが経営するショップかな?

店員さんに聞いてみるか、近くの店員さんを捕まえ話しかけた。

「ここは何処のギルドのショップなんですか?」

「ここはスターライトが経営するショップです」

「スターライト?帝都に来て日が浅いもので初めて聴いたのですが、有名なギルドなんですか?」

「有名なギルドに入ると思います。五大キルドの一つに数えられるくらいですから」

五大ギルドの内、二つ制覇したな。

ミッドナイトにスターライトか、仲が悪そうだ。

属性的に!

「ちなみに、ここのショップもギルド勧誘はしないんですね」

普通に話しを聞いてくれるし、普通に質問に答えてくれる。

勧誘の「か」の字も無かったな。

「ウチのギルドは基本的に勧誘はしていないんですよ。入りたいと言う方が居た場合にギルドの主要メンバーが自分達のギルドにふさわしいと思った場合のみ入会を認めると言った仕組みになっています。また、何処のギルドにも所属して居らず、主要メンバーが自分達のギルドに勧誘したいと思った場合のみ勧誘します」

「オレは無所属だから、勧誘される可能性がありますよね?」

「そうですね」

個人的にはスターライト見たいな仲間内ギルドの方が好きだな。

みんなでわいわい出来る感がある。

さぁーて、姫様は...居ないな。

今度はどこのショップに居るのかな?

さっきから、店員さんに話しを聞くだけで何も買わずに出て行くなんて、まるで冷やかしだな。

そんなつもりは一切無いんだけどな。

そんな事を考えつつ、ショップを出て姫様を探すと、また別のショップへ入っていくのが見えた。

次は何処のショップかな~。

ショップに入り、店員さんに話しかける。

「何処のギルドが経営するショップですか?」

「ここはグリーンが経営するギルドです」

グリーン?いい歌が多いアノグループしか思い浮かばないな。

「あまりギルドに詳しくないのでどういったギルドなのか説明してもらえますか?」

「はい、われわれのギルドは五大ギルドの一つに数えられるほど有名なギルドです。名前にある通り、ギルドカラーはグリーン、緑になっています。また、ギルドメンバーの中に木属性の魔法をメインで使う者が多いのが特徴ですね」

おかしいな、説明の中に「有名なのに知らないんですか?」みたいなニュアンスが含まれてて居たような...気のせいか。

店員さんとの話しが終わったので、オレはショップを出た。

ことわざに二度ある事は三度ある言う物があるが、今回はそれにあたるだろう。

さすがのオレも、三度目だから姫様がショップから出て行く瞬間を見ていた。

だから、店内を見回すこと無くショップを出たのだ。

これは三度目の正直に当たるだろう。

しかし、三度目とは言え次に姫様が入っていくショップは分からないし知らない。

オレの予想だが、全部で五回はこのくだりが続くだろう。

え?理由?直感だ!

姫様の後を追い...ん?なんかオレ、いわゆる金魚のフンみたいだな。

ショップに入ったら店員さんと話しをしている暇様を横目で見つつ、オレも店員さんに話しかける。

完全にフローチャートが出来上がってるな。

「あのー、ここは何処のギルドのショップなんですか?」

「ここはウォーターが経営するショップです」

今度は水かよ、最後は火で間違いないな。

ファイヤーかな?

「ちなみに五大ギルドのうちの...」

「一つです」

フローチャート通りです。

まぁ、フローチャート通りに行かないとバグったりして積むんだけどね。

「ちなみに勧誘は?」

「勧誘はして居ませんが、募集はしています。ですが、ウチのギルドは毎月ノルマがあるので、そのノルマを簡単に達成できる人でないと難しいと思います」

なんでだろう「でないと」から「難しい」の間に「ウチのギルドに入るのは」をカッコつきで字幕として出すのが容易だったし、別の人物の顔が出てきたんだが?なんでだ?

さて、店員さんとの会話はクリアしたな。

あとは姫様の後を追いかけて別のショップに入る、多分コレが最後だからやる気出てきた。

ふと思い出した聞いた話だが、とある教授がとあるその道の職人にとあるものを百個作らせ、作ったそばから本人の目の前で一つずつ耐久テストとして破壊していく。

職人さんはどんな心境で作ってたんだろか、考えるだけでいたたまれない。

耐久テストと言うからには、百個すべての数値化しデータとして記録している。

結果はと言うと、前半十数個を境に耐久性をあらわす数値がだんだんと下がっていったが、後半の特に百個に近づいた八十数個あたりから、耐久性は上がっていたと言う。

つまり、何が言いたいかと言うと、このテストでの耐久値はとある職人のやる気をあらわしている。

前半は始まったばかりのためやる気は普通にあるが、少し経つと百個と言う個数と目の前で作ったそばから壊される事でやる気が低下していく、しかし終盤になるにつれ「あと少し」と言う気持ちが現れ、やる気が出てくる。

そんな出来事が現在、オレの身に起こっている。

たった五回だが。

最後の店に入るといきなり勧誘された。

やはり姫様は店員さんと話しているが、姫様も勧誘されている様子。

オレは勧誘されに来たわけでは無いので、金色のバッヂを見せて黙...落ち着かせ本題の質問へ。

「ここのショップは何処のギルドが経営を?」

「レッドだ」

そう来たか~「ファイヤー」じゃなかったか~。

「五大ギルドの一つですよね」

「そうだな」

やっぱりね。

「どういったギルドなんでしょうか?」

「五大ギルドの中でも実力、規模でトップになるギルドだ」

君達のギルドの雰囲気が分かった気がするよ。

完全に数を誇ってるタイプだ。

「他の五大ギルドは勧誘を基本的にはしていないようでしたが、レッドはバンバン勧誘するんですね」

「おおよ!人数が多ければ尾の図とギルドとしても強くなっていくからな」

「そ、そうですか」

オレがもし、ギルドに入るとしたらここにだけは入らないだろう、間違いない。

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