{第七十一話} 対応魔力量
「下りてみるか?」
一応ね?地下2階の地下ダンジョンには入らないけどね?
姫様と地下1階のショップ街に。
地下1階は縦に長く、左右にショップが並んでいる。
この、店屋とかが並んでいる感じといい、いろんな冒険者が行きかっている感じといい、ショッピングモール感がある。
「ここが、地下1階のショップ街です。帝都内のこういったショップはここにしかないので、ダンジョンにはもぐらず買い物をしにここに来る冒険者もいるようですよ」
だから帝都を見回してもこういったショップが無かったのか、ミイのありがたい説明で納得したよ。
「左側と右側にショップが並んでいますが、このショップは色々なギルドが経営している店がほとんどで、自分が所属しているギルドが経営するショップで買い物をすれば割引等をしてくれるみたいですよ。階段を下りて一番手前にある左側のアイテムショップと右側の武具屋だけは冒険者組合が経営しています」
オレみたいにどのギルドにも所属しない新米冒険者はここを利用した方がいいな。
見るからに新米冒険者が右も左も分からず、適当にギルドが経営するショップし入って行った。
「いらっしゃいませ~」
「どうも...」
新米くんがショップの床を片足で踏んだ瞬間に中に居た3人の店員から「いらっしゃいませ~」からの囲まれた。
「お客さん、もしかして新米冒険者ですか?」
「はい」
「所属するギルドをまだ決めてないならウチはいかがですか?」
まさかの、ここで勧誘を始めた。
新米冒険者がどのショップに入ろうかうろうろしていた時に新米くんに向かっての尋常じゃない視線は他のショップも勧誘する気まんまんだったって事を今理解したよ。
店屋に入れてしまえば、こっちの物だからな。
オレも試しに入ってみようかな~と辺りのショップを見回すが、ショップの店員はオレを見るや奥に入っていく。
ん?おかしいな、オレは新米冒険者に見えないのか?
いいよ!お前らギルドが経営するショップや鍛冶屋には二度と行かないよ!一度も行った事無いけど。
普通に冒険者組合に運営するショップと鍛冶屋にしか行かないよ!一度も行った事無いけど。
組合のショップを含め、ギルドのショップは人の出入りがあるが、組合の鍛冶屋は人の出入りがまったく無い。
入っていく客が居ないなら、オレが入っていく客になればいい。
「よし!まずは、組合の鍛冶屋に行こう」
姫様をつれ、鍛冶屋のほうへ。
店の名前は...「鍛冶屋」実にシンプルだ。
その鍛冶屋に入ると、オレと同じ位の青年がレジカウンターに立っていた。
「いらっしゃいませ」
店内に置かれた商品の武器や防具は良く磨かれ輝いていた。
ホコリを被っている物など一つも無い。
綺麗なのは商品だけではなく、店内もとても綺麗だ。
そんな店内に一定間隔で金属音が響き渡る。
きっと、金床で剣やピッケル、シャベルの修理でもしているのだろう。
「何かお探しですか?」
店員の少年に聞かれたのはいいが、何もお探しじゃないんだよね。
これじゃあまるで、ひやかしに来た見たいじゃないか。
かと言って「見ってるだけ~」とも行かない。
「こういった店に入ったのが初めてでよく分からなくて」
「そうでしたか、かまいませんよ。当店では剣や弓、ハンマーや斧と言った多種多様な武器はもちろんのこと頭や体、足を危険なモンスターの攻撃から守るための感情で軽い防具も取り扱っています。また、その武器や防具、魔道具の修理や強化、メンテナンスもお任せください。新品同様...いえ、それ以上の状態にして見せます。もちろん、ここで買った物でなくても承ります」
「なるほど、分かりやすい説明」
「それはよかったです」
鍛冶屋のサービスは分かったが、何もやる事無いんだよな~
GOSのメンテでも頼むか?
GOSを外そうと自分の手首を見たが、見当たらない。
軽くつけたはずの左手首をつめで引っかいて見ると、何か引っかかる物がある。
それを引っ張ると色が変わりブレスレット状のGOSが現れ、手首の2倍ほどのサイズになり簡単に外せた。
こんな機能あったっけ?つける時もこれ位のサイズで手首に通した瞬間、自分の手首にぴったりのサイズになったような気がするな。
それにしても、完全な保護色だったな。
よく目を凝らしても分からなかったぞ?
そん事を考えながらGOSを店員に渡した。
「なるほど、なるほど...」
GOSをタッチし、表示されたボード真剣に見ていたが急に黙り込んだ。
「どうしたんだ?」
「この魔道具を何処で?」
「おじさんに貰ったんだが?なにか?」
「この魔道具はすごいですよ!使用用途がひらめきしだいで無限に広がります。それは使っていて分かっていると思いますが、それより何よりすごいのは対応魔力量です」
なんぞや?対応魔力量ってなんぞや?
「対応魔力量と言うのは、すべての魔道具や魔法を消費する特殊効果がある武具に存在する物でその魔道具がどれくらいの魔力に対応できるか。と言う最小値と最大値の2種類があります」
大体分かってきたぞ、感覚的に。
「例えば、ここにある剣があります」
カウンターの下に手を伸ばすと、短剣を持ち出した。
「この剣は魔力を消費する事で一時的に攻撃力を通常の2倍から3倍にする事ができます。この剣に流す魔力を調節すれば、攻撃力上昇の効果継続時間を延長させたり、上昇する攻撃力の倍率を上げる事が出来ます」
「ふむふむ」
「例えば、魔力が無限な人がこの剣を持って大量の魔力を流せば効果持続時間を無限にして上昇倍率を1000倍や10000万倍にする事が出来ると思いますよね?魔力が無限なんて人は居ないと思いますが」
「お、おう」
ここに居るんだよな~君の目の前に居るんだよな~
「ですが、この剣の対応魔力量は0~100なんです。どんなに無限の魔力を持っていてもこの剣は100までしか対応していないため効果継続時間を無限にしたり、上昇倍率を10000倍にする事は出来ません。例え、上昇倍率の方に100の内のほぼすべて、100全部を割り振ってしまうと発動できないので99の魔力を使用したとしても、せいぜい3.5倍程度でしょう。しかし、効果継続時間に割り振った魔力は1なので、敵にその3.5倍の剣で一撃与えれらるかどうかでしょう。まぁ、攻撃力を上げられる武器を使う多くの人は効果持続時間に割り振る魔力を少なくして上昇倍率に大半の魔力を使うと言った使いかたをするんですけどね」
「なるほど」
「本題に戻りますが、その対応魔力量がこのえーっと...」
「GOSです」
「このGOSには無いんです」
「無い?!」
「はい、正確には最大値がありません。つまり、さっきの剣で言えば効果持続時間を無限に出来ますし、攻撃力の上昇倍率を10000倍にする事が出来ます。魔力を無限も持ってる人が居ればの話ですけどね」
ここに居るよ~目の前に居るよ~
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