{第七十話} 冒険者組合

食事も終わり、食器を返却口に返した。

「ご飯も食べ終わったし、午後も何処行くん?姫様?」

「バラスクに行きたいです!」

そのこころは?治安があまりよくないって聞いたぞ?そんな所に何故姫様は行きたがるんだ?

「「カジノ」と言う所に行きたいです!」

「オレはオススメしないぞ?」

「いいじゃん、カジノ。行けば?」

姫様を行かせたくないオレとは反対に、おじさんは行かせても問題無いようなそぶりだ。

「いやいや「行けば?」じゃないでしょw」

「何で?あ、夜じゃないとダメかwごめんごめんw」

「違うそうじゃない」

「ん?」

不思議そうな顔をするおじさんを見て、オレも不思議そうな顔になる。

「お前が居れば多分大丈夫だろう」

「はい?」

「最悪の場合は俺を呼べばいい」

「せやな」

「カジノは夜飯の後にでも行けばいいだろう」

「それまでどうしろと?」

「しらん!」

おじさん達は調べ事の続きを片付けにどこかへ行ってしまった。

「この後の予定は?」

「そうですね...ショウさんは何処か行きたい所はありますか?」

「え!?オ、オレか...冒険者組合的な所に行きたいな」

「では、そうしましょう!」

郵便局を出てミイの道案内に従い「冒険者組合」の前まで来た。

その2階建ての建物の外観を見るに嫌な予感がしてきた。

周りの建物に比べ、この冒険者組合の建物は目立っていた。

明らかに時代が違い、この建物だけこの時代に現世で言う明治時代からタイムスリップしてきたみたいだ。

しかもこの建物は洋風と和風が混ざった感じのデザインだ。

中に入ると、左側手前には上へとつながる階段と下へと続く階段があり、左奥では冒険者と思われる人達が食事をしていた。

近くのテーブルに置いてあったメニューを見るにレストラン兼飲み屋らしい。

反対に右側には壁沿いに受付がいくつかあり、そこで仕事を紹介しているようだ。

受付の向こうには掲示板が2枚あり、片方はおしらせ、もう片方は冒険者への仕事以来が書かれた紙が貼ってあった。

これは完全に掲示板に張ってある依頼の紙を受付に持っていけば仕事が請けられる仕組みだろう。

幸いにも、文字が読めないから適当な物を受付に持って行き受付嬢とやり取りの中でうまい具合に文字が読めないとバレずに誘導する必要も無いし、とんでもないクエストを選ぶ青髪のアークプリーストも居ない。

居るとすれば、姫様だけだ。

依頼の紙には皆、星のマークが入っていて依頼によって書かれている星の数が違うからして、クエストの難易度をあらわしているんだろう。一瞬手配度がよぎったが。

星の個数は一番少ない物で1個、一番多い物で13個。

きっとこれ以上もあるのだろう。

当然ながら、星の数が多ければ多いほど報酬も増えていく。

ちなみに、星の数が13個で一番多いクエストの報酬は25万ギルだ。

紙には星の数や報酬の額に加え、クエストの内容、そのクエストの差出人の名前が書かれている。

そしてその掲示板の更に奥にはまたもや受付があり、手前の受付に比べ人が並んでいた。

受付の女の人と冒険者との話に耳を傾けるとこんなやり取りが。

「鑑定の結果、こちらのクリスタルは大きさは申し分ないのですが、形が整って居らずキズもいくつかあるので少し買い取り額が下がってしまいます」

大きめなクリスタルに付いたキズを指差した。

「キズ?まじか~」

「一方こちらのクリスタルは状態がとても良く、大きさも中々あるので高く買い取らせていただきます」

「合計金額は?」

「はい、今回の買取合計額は54500ギルになります」

「やった~」

男は大喜びだガッツポーズ、さっきのキズの話とはテンションがまったく反対だ。

「この金額でよろしいでしょうか?」

「はい!」

「では、こちらが54500ギルになります。お受け取りください。」

袋に詰められたお金を受け取り、大喜びで反対の飲み屋の方へ。

この流れは完全に冒険者組合が得する流れだ。

「クルスタル?」

何処でそんな物を?

「私が説明します!」

ここでミイが登場。

「冒険者の収入源は大きく分けて2つあります。一つは掲示板に貼られたクエストを受けて報酬を貰います。もう一つは、この冒険者組合の地下2階から入れる地下ダンジョンで出てくるモンスターを倒して、ドロップしたアイテムをさっきの換金所で換金してお金を手に入れるです」

「ほうほう」

「冒険者の皆さんには地下ダンジョンで稼ぐ方が人気みたいですね」

「だろうな」

「ですが、地下ダンジョンは何層もあり下に行けば行くほど、出てくるモンスターが強くなります。ドロップするアイテムの量やレア度も上がるんですけどね」

「よくあるパターンだ」

「結果、自分の腕を過信しすぎたり実力を見誤った冒険者が帰ってこない事もあります」

「お、おう」

「マスターも挑戦されてはいかがですか?」

「自分、チキンなんで...」

「ちなみに、地下ダンジョンの最下層はまだ発見されておらず、京一様も57層で疲れてやめています」

「何故?」

「理由はいくつかあります。まず、一層ごとの広さが帝都ぐらいあります」

「なかなか広いな」

「そして、下と階層へと続く階段は階層ごとに場所がバラバラで何処にあるか分かりません」

「また、50層を超えた辺りでモンスターの強さが急激に上がり、一度に出現する量も増えます」

「おじさん以上行ったヤツはいるのか?」

「まだ居ません、私達以外では最高26層らしいです」

「階段の位置が分からなかったのか?」

「56層までは京一様が階段の位置を示した地図を公開しています」

「単に実力か」

「そうですね」

「おじさん単独で57層まで?」

「いえ、私とネラ様、ネイ様を含めた4人でいきました」

「それで57層?」

「はい。京一様単独では49層、ネラ様とネイ様はそれぞれ36層と39層です」

「オレも今度挑戦してみるか」

「そうですね」

「さっき「地下2階から地下ダンジョン」って言ってたが、地下1階には何が?」

「鍛冶屋や武具屋、アイテムショップがあります」

「ダンジョンにもぐる前に準備できるってわけか」

「はい、鍛冶屋で防具や武器の修理強化、武具屋では新しい防具や武器の購入、アイテムショップでは回復アイテムや特殊効果の付いたポーション等の購入が出来ます」

「ほ~ん」

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