{第六十一話} 睡眠学習

「失礼w」

眩しい物を見るとなんか、クシャミがでるんだよね。

理由はわからないけど。


「いいってことよ」

「じゃ、はじめるぞ」

おじさんはジャケットを脱いで、ネラにわたした。

オレもおじさんを真似てジャケットを脱いだ。

違う点があるとすれば、オレはYシャツ姿だが、おじさんはベストを着ている。

オレも3ピースにしようかな?


「で、なにするの?」

指をポキポキ鳴らすとクリエイトで何か作り始めた。


「お前はジャケットを着ておけ」

ネラからジャケットを受け取り着たが、おじさんがこれからオレに何をさせるか用意に想像ができた気がした。

クリエイトで出てきた丸太を立て木のくいを一本刺したのを見て、オレの想像は確信に変わったんだが?


「ほらよ」

とりあえず、ジャケットを掛けた。


「あれ?」

「俺、ジャケットを掛けてって言ったっけ?」


「言ってないけど?」

「拾って、掛けて、外して、着て、脱いで、掛けて、外して、落として、拾って、掛けて、外して、着て、脱いで、落として、拾って、掛けて、外して、着て、脱いで、掛けて...」

「で、その後は「たなぼた祭り」にいくのか?」


「...」

おじさんは無言になってしまった。


「図星かい!w」


「ああ、そうだよ!」

「何千回も掛けて、何千回も着ろ!」

開き直ったしw


「つまり、オレはカンフーをやるの?」


「まぁそんなところだ、中国四千年の歴史をなめるな」

どこから四千年だよw

そんな事を考えていると唐突におじさんが殴りかかってきた。


「お、おお?」

反射的にオレはかわした、いやかわせたと言うのが正しいだろう。

しかし、ギリギリだった。


「今、俺の攻撃をかわせたのはお前の実力ではない」

「その指輪の力だ」


「でも、ギリギリだったぞ?」


「それは、指輪の力だけでお前の意思じゃないからだ」

「あと、体が付いてこれてないからだろう」

完全に理解。


「と、言う事で今日はお前の体作りからです!」

お、おう...


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宮殿 昌の部屋 夜


「疲れた...」

オレはスーツ姿のままベッドに倒れた。


あの後、腕立て伏せ100回、状態越こし100回、スクワット100回そしてランニング10km...

このまま行ったら1年半後にはハゲてるよ、強くなった代償としてな。

明日は全身筋肉痛だな。

引きこもりにさせる事じゃねぇぜ...

結局、おじさんの攻撃はかわせなかったし、オレの攻撃もかすりもしなかったし。

おしい所までは行ったんだけどな...


その日、オレは結局スーツ姿のまま眠ってしまった。


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宮殿 昌の部屋 深夜


深夜、2人が寝静まった事を確認して部屋に入ってくる人影が一つ...


「何してるんですか?」

そんな人影に気づいたネラは静かに起き上がり、静かに後ろに回った。


「おっ!なんだ、ネラか...びっくりさせるなよw」

案の定、おじさんだ。


「何しに来たんですか?」

「見るからに怪しいですよ」

ネラはあきれている様子。


「昌は寝た?」

「枕の下にコレを入れておこうと思ってな」


「そう言う事ですか...」

おじさんは昌の枕の下に「コレ」を入れ、部屋を去っていった。


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宮殿 昌の部屋 朝


「おはようございます、マスター」

「京一様はもう来ていますよ?」

毎朝女性に起こしてもらえるなんて、オレは幸せだよ。

現世ではいつもアニメキャラの目覚ましアラームだったからな。


「昌、起きろ!」

「朝食の準備はできているぞ?」

どうせ、ブロック状のクッキーだろ?ドリンクか?それとも...


「今日は、ゼリータイプだ」

予想通りだよ。

ゼリーをチューチュー吸いつつ、昨日の平原にテレポート。

今日も急に飛ばされたが、さすがになれたな。


「で、今日はなにするんだ?」

昨日と同じことするのか?

本当にハゲるぞ?


「行くぞっ!」

昨日と同じく突然殴りかかって来た。


「お?」

昨日とは比べ物にならない位に軽くかわした。

かわした自分が自分で驚くほどに。


「上出来だ」

おじさんは計画通りと言う感じの顔をしている。


「お前がつけているその指輪」

「俺のじゃない、おやじの方だ」

「つけているだけで、少しずつ筋肉が付いていく」

「それに、筋トレすれば通常の10倍の効果が現れる」

「あ、もちろん日常の動きのも効果も10倍だ」

「昨日の感じからして、あと少しだったから軽く筋トレをしますた」

軽く?は?


「筋肉が付いた件については理解できたが、オレの戦闘技術は指輪頼りのままなんだろ?」

かわしたのは機能もしたから多少はオレの意識でかわせたと思うが。


「いや、お前の意思も結構強く?なったと思う」

「試しにやってみよう!」

そう言うと、おじさんはオレに連続でパンチを繰り出した。


「お?お?お!」

これに関しては昨日もやられたが、昨日は体がかってに動いている感じで、オレ自身は何もしなかったのだが、今日は違う。

おじさんのパンチ一つ一つが止まって見える。

それに、どこにパンチが飛んでくるかもスローモションで見える。

そして、それに対してどうよければいいかが、自然と頭に浮かんでくる。

その自然に浮かんできた体の動きをしようと思うだけで体は動いてくれる。


「よし、効果は出ているみたいだな」

「次はお前が俺に攻撃してみろ」

効果?なんの?


「お、おう」

おじさんの動きがやはり、ゆっくりに見える。

オレのパンチを左右によける動き一つ一つが。

それに、どの方向にどうやってよけるか、感覚的に予測できる。

はっきり行って昨日の今日でこの成長のしかたは怖い。


「まあ、素手での戦闘術はこれ位でいいだろう」

「次は剣術だな」

これは、いやな予感...


「で、取得する武器は何種類なんだ?」

予想「15」位。


「今数えるわ」

「剣、槍、ナックル、ハンマー、銃、弓、ランチャー、ローラー、スピナー、バケツ、ブラスター、チャージャー、シューター...」


「まてまて、おい後半w」

「え?何?インクで塗りあいでもするの?」


「大丈夫、明日全部詰め込むからw」

はい?

全部詰め込む?馬鹿なのかな?


「ちなみに、さっき言ってた「効果がでている」とは?」

何かしたっけ?


「ああ、コレをお前の枕の下に入れておいたんだ」

おじさんの手には「これさえ読めば 完璧!{素手編}」と表紙に書かれた本を持っていた。

てか、辞書くらいの厚さがあるぞ?

これを枕の下に入れて寝るなんて、絶対寝心地悪かっただろうな。

ん?オレはその寝心地悪い状態で寝ていたのか...


「これは、睡眠学習?」


「ちょっと違うけど、そう!きっと、睡眠学習!」

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