{第四十話} ティーパーティー

とりあえずコイツらを縄で縛ってGOS(ゴット オブ ソード)で作った檻で囲っておこう。

コイツらの体には目立った外傷は無く、この書斎には血痕はおろか争った形跡すら無い。

せいぜい扉に蹴破った跡があった位で、きっとコイツらがこの書斎に入るときに出来た跡だろう。

それも、おじさんが治して行ったせいでこの書斎は王様と最初に来た状態のままだ。

そんな考察をしているオレに王様が話しかけてきた。


「ティア達を守ってくれてありがとう」


「いえいえ、僕がこの場を離れたせいで王様の身に危険が生じたのも事実です。この場に京一が来たのが幸いでした...」


「いや、京一がここにこれたのもショウ殿のおかげなんだよ」


「それはどういう...」


「ショウ殿が書斎を出る時にこの場に残した小さなメイドさん...確か名前は「ミイちゃん」だったね」


「どうしてそれを?」


「ショウ殿がこの部屋を出て行ったあとこの小さなメイドさんとお話して、その中で聞いたんだ」


「そうでしたか」


「ショウ殿がメイドさんに名前を着けた事なんかをね、その中でショウ殿やネラ殿の事も聞いた」


「そうですか...」


「おかげで色々な事を知れたよ、特にミイちゃんはショウ君が大好きだって事が良く分かった」

ミイが大きくなってオレの顔を「がんばりました!」と書かれた顔で見ていた。


「えへへへ~」

頭をなでるとうれしそうな笑顔でオレに抱きついて来た。

何故か昔から小さい子と動物には好かれるんだよなw

そのあと王様のところに歩いていって王様にも頭をなでてもらい、ご機嫌だ。

実にほほえましく平和な時間が流れていた。


「ミイちゃんが京一を呼んでくれたおかげで私は無事なんだ」


「そうでしたか」


「つまり、ミイちゃんをこの場に置いて行ったショウ殿のおかげと言う事だ」


「いえいえw」


「それにしても、ショウ殿は随分と人によって口調が違うのだなw」


「そうですね...」


「私にもさっきの京一の時と同じ感じで...」


「流石にそれは...」


「何故だ...私のことが嫌なのか...?」


「そう言うわけではないですが...」


「ではどう言う...」


「だって、王様ですよ?この国の!この国で一番偉い人ですよ!そんな人になれなれしく話せないですよ」


「確かにそうだなw」


「はいw」


「そう言えば王様はティーパーティーには出ないのですか?」


「ああ、私は大人数でにぎやかなものがあまり好きではなくてね...」


「そうでしたか」


「だからそういった行事は妻のフレイヤとティアにまかせっきりでね...もちろん出席しなくてはいけない行事にはしかっりと出ている」


「そうですよね」


「王としては失格だろうがな...w」


「僕も大人数が集まる場所が苦手だったんですよねw」


「そうか、仲間がいてよかった。だったって事は今はもう?」


「はい、克服して今は平気です」


「そうか、私も克服しないとな」


「少しずつで良いんです」


「そうだな...」


「はい」


「では、私も今回のティーパーティーに出席しようかな」


「分かりました」

とりあえず、ネラに連絡しておこう。



「ピッ」


「オレだ、ネラ」


「はい、どうかされましたか?」


「今から王とそっちに行くから」


「分かりました、お姫様達にもそのように伝えます」


「ああ、頼んだぞ」


「ピッ」



書斎から出て庭園へと向かう。


「そういえば、王様質問いいですか?」


「ショウ殿からの質問だ、何でも答えよう!」


「いつもこういう時はどこで何をされて居るんですか?」


「さっきの書斎で本を読んでいる」


「いいですよね、あの書斎」


「ああ、特にベランダからの景色を見て風を感じて紅茶を飲みながら本を読むのが好きでね」


「それはそれは...」

そんな会話をしながら歩いていると姫様達が見えて来た。


「お父様!どうしてこちらに?珍しいですね」

そう言いながら、姫様がこちらに近寄ってきた。


「ああ、ショウ殿と話をしているうちに私もこういった行事に参加しないとと思ってねw」


「そうでしたか!」

姫様は心底うれしそうだ。


「それに、今日はティアの誕生日だ!出席しないわけないだろう!」

その王の一言を聴いてさらにうれしそうだ。

さっきは、抱きつかれてイヤそうな素振りを見せていたがやはりお父さんが大好きらしいw

オレも父は嫌いじゃないがたまにめんどくさいとは思ってる...なんでこの話になった?


「まあ、あなたもこちらに来たのね」

そこに王妃もやって来た。


「たまにはな、なにせ今日はティアの誕生日だ」


「そうねw」


「ああ...」


「で、誰に背中押してもらったの?w」


「ッグ!?」

バレてるしw


「ショウ殿だ...」


「そう、お礼を言うわ」

そう言うと、オレの方を向いて微笑んだ。

どうしたら良いか分からなかったオレは取り合えず頭を下げた。

そこへ、騎士団長達が護衛する貴族と思われる人達がやってきた。

見た感じは女性ばかりで、やはりティーパーティーは女性が出るものらしい。

王達が貴族達と挨拶をしているとメイド達が紅茶やケーキを運んできた。

円いテーブルにシワ一つ無くピンッと張られたテーブルクロス。


「すばらしいテーブルコーディネートだ」とじいちゃんなら言うだろう。

紅茶が好きでそういった店に良く連れて行ってもらった。

その過程でこういったマナーについて色々聴いた。

それが今、役に立つ時が来るとは...

テーブルの中心に置かれたケーキスタンドには下から「サンドイッチ」「スコーン」「ケーキ」が置かれている。

ケーキのほかにもタルトなどの焼き菓子が置かれている。

貴族達が席に着き、ティーパーティーが始まった。

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