{第十五話} 魔王を倒すことになりました?!

「ここがこの町の現実世界で言うところの飲食店街です」

そこにはおいしそうな匂いがあちらこちらから漂っていた。

「さて、何食べようかな...」

「おじさんのよく行く店ってある?」

「そうですね...ここですかね...」

「ここは?」

「お肉料理のお店です」

その店からは香ばしい肉の匂いがただよっていた。

「そういえば、おじさんハンバーグとか焼肉とか肉系の料理好きだったけ」

「どうでしょう?」

「ここにしよう」


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中に入ると肉の料理屋だけあって、店内は男の人ばかりだった。

「ここの席にしましょう」

席に座り、メニュー表らしきものを見る

「うん、うん、読めるか!ネラは読める?」

「はい読めます」

「なんて書いてあるか教えて」

「わかりました」

「まず、スペアリブ、ローストチキン...」

「おじさんがよく頼んでたメニューは?」

「この、骨つき肉ですかね」

「じゃぁ、それで」

「わかりました、飲み物などはどうしましょう?」

「飲み物ってどこに書いてあるの?」

「ここから下ですね」

「なるほど...じゃぁ、これで」

適当に指をさす。

「よろしいのですか?」

「なんで?」

「先ほどお酒は飲まないと言ったばかりなのにお酒を選択されたので」

「うそ?!これ酒だった?」

「そうですね」

「ノンアルコールの飲み物無いの?」

「そうですね...これなんかどうでしょう?」

「何これ?」

「果実を絞った飲み物です」

「フルーツジュース的な?」

「そうですね」

「じゃぁ、それで」

「わかりました」

そういうと彼女はウエイトレスらしき女性の店員をよび注文つたえた。

「あいかわらずなに言ってるかわからないなw」

「そうですね、日本語や英語とはまったく違いますからね」

「英語か...」

「どうしました?」

「オレ英語苦手なんだよね...」

「そうでしたか、京一様も喋れないとおっしゃってました」

「へーおじさんも苦手なのか」

そんな話をしていると料理が運ばれてくる。

「これが、おじさんのよく頼んでた料理か...納得した」

そこには通称マンガ肉と呼ばれる大きな肉の真ん中に大きな骨が一本刺さった肉だった。

「おいしそうだな...」

肉からは、焼きたてほやほやの湯気とスパイシーで香ばしい匂いが立ち込めていた。

「いただきます!」

口を大きく開け肉にかぶりつく。

「味のほうはどうですか?」

「うますぎる!」

「そうですか、よかったです」

肉にかぶりついているとよぱらった一人の男がいすに軽くぶつかってきた。

「あ、すいませ...」

男はとてもいかつく、こちらを睨んできたが、ネラを見るやいなや表情を変え頭を下げてきた。

「え?ええ?」

「大丈夫ですか?」

ネラがくるとさらに頭を下げネラに話しかけている。

「どうしたんだ?」

「私が京一様のメイドであること気づいたらしくとてもおどろいています」

「で、男となにを話してるんだ?」

「マスターと京一様の関係についてです」

「なんて答えた?」

「ご氏族にあたられる方で...」

「ふむふむ」

「魔王を倒す方です。っとお伝えしました」

「え?魔王?は?オレが?」

「はい、最近復活したようなので」

「復活?誰が倒したの?」

「京一様です」

「ですよねー」


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「とりあえず家に帰ってきたはいいが...すごかった」

「そうですね、それを聞いたあの男が回りに伝えて周りの男たちに囲まれて」

「「コレうまいぞ」的な感じで色々料理をわたされ」

「挙句の果てにはおごってもらいましたからね」

「もうたべられない...」

「私まで食べましたからね」

「そして、服がくさい!洗濯か」

「大丈夫です」

「なんで?」

「メイドなので家事スキルがついています」

「なるほど」

「洗濯の消臭をえらべば...」

二人の足元に魔法陣が現れ、服についていた臭いがなくなった。

「おースゲー」

「メイドですからこれくらいはできます」

「ほかには?」

「料理や洗濯、掃除といった家事全般は難なくこなせます」

「さすがメイドだな」

「当たり前のことです」

「じゃぁ、ミニメイドもできるのか?」

「ええ、できますよ」

「ほほー」

胸ポケットかからミニメイドが「よんだ?」と言わんばかりに出てきた。

「お、悪いくさいし苦しかっただろう?」

ミニメイドは横に首を振る。

「でもな...ネラ、このミニメイドをオレの眷属にできない?」

「できますよ、ミニメイドの所有者の名前を私からマスターに帰れば可能かと」

「わかった、そうして」

「わかりました」

「これで好きなときに出てきてもらったりできるのか?」

「そうですね」

「でも、ミニメイドじゃぁ呼ぶ時に面倒だな...」

「では、名前をつけて差し上げればよろしいのでは?」

「そうだなー...じゃぁ「ミイ」で、ミニメイドからとりました」

「わかりました、そう登録しておきます」

ミイの足元に魔法陣が現れひかりだしミイを囲う。

「おー眩しい」

光は消えると少しさっきとはメイド服が変わっていた。

「ん?メイド服変わってね?」

「少しメイド服のデザインを変えておきました」

「なるほど、これでネラのミニメイドとミイが混ざってわからなくなることはないな」

「そうですね」

「そういえばミニメイドはほかに何かできないのか?」

「そうですね...ミニメイドを使えば録音録画ができます」

「あとは?」

「そして、ミニメイドを通して話せば、遠く離れた人とも話しができます」

「まるで、スマホじゃないか...」

「は?」

「あと、ミニメイドは喋れるの?」(想像通りの返しでよかった)

「喋らないですね、会話するときはうなずいたりジェスチャーですね」

「へー」

「私は喋れますよ!」

「え?」×2

声のした方を見るとミイがピョンピョンはねていた。

「え?喋れるの?」

「喋れますよ!」

「おい、ネラ!喋ってるぞ!」

「そうですね...」

「ちょっとネラのミニメイドを呼んでみて」

「はい」

ポンという音とともに一人ミニメイドがあらわれた。

「ミイ、ミニメイドに喋れるか聞いてみて」

「わかりました」

なにやら声は聞こえないが会話らしき物をしている。

「喋れないそうです」

「そうか...って、ミイは会話できるの?」

「はい」

「どうやって?」

「テレパシーのようなものでしょうか?」

「なるほどー」

「今までミニメイド同士の会話はテレパシーで行っていたようです」

「だって、ネラしってた?

「いえ、知りませんでした」

「不思議なこともあるもんだ」

「そうですね」

「それにしても今日は疲れた...」

「お風呂にしますか?」

「そうしてくれ」

「わかりました、お風呂にお湯を張るのに少し時間がかかりますがどうされますか?」

「おじさんの部屋にでもいるよ、終わったら呼んでくれ」

「わかりました、ミニメイドを通してお呼びしますね」

「わかった、ミイよろしくな」

「了解です!」

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