学園ゲーム中に恋に芽生えるのは反則ですか?

倉田キヨト

入学試験①

人生は常にありえない事の連続だ。世界にはありえない事があふれている。

ただ、それを自分では目視出来ていないか、気づいていないだけなのだ。

しかし、そのありえない事がもしも目視出来たり気づいたりすることが出来たなら人はどんな反応をするだろうか。

──それは。



目が覚めた。最初に視界に入ったのは見知らぬ天井だ。……一体ここはどこなのだろうか。


「あっ、目が覚めた?」


──横には1人の美少女がいた。どうして僕の横にこんな可愛い子がいるのだろうか。

いやそれよりも、どこかで見たことがあるような気がするが思い出せない。


「えっと、君は誰かな?」


「えっ? もしかして、覚えてないの?」


やはり会ったことがあるのだろうか。


「ごめん。少し頭がぼっーとして思い出せないんだ」


「……そんな、じゃあ今起きてるこの状況も覚えてないの?」


「今の状況? 僕が寝ているってことかな?」


確かに今のこの状況にどうしてなったのかは知りたい。


「確かにそれもあるけど、もっと前のことだよ? この学校の入学式からのことだよ」


……入学式。……学校。

──お、お、思い出した……。

どうしてこんな重要なことを僕は一瞬でも忘れてしまっていたんだろうか。



僕は今日青葉せいよう学園の入学式だった。

この青葉学園は日本から少し離れた島にあってこの島は青葉学園の所有物である。なので、青葉学園は全寮制で毎年300人しか受験者を取っていない。

確かにこれだけでも、普通の高校とは違うかもしれないが青葉学園にしかないルールがある。

それは、この学校では全てゲームで決まるということだ。

簡単に言えばそうなるのだが細かいことははっきり言って知らないのだ。

それはどうしてかと言うと。



入学式の時。舞台の上に1人の綺麗な女の生徒が出てきた。


「皆さん。こんにちは。私はこの青葉学園の生徒会長をしている桜坂陽奈さくらざかひなと申します。では早速ですが本題に入らせてもらいます。あなた達にはまず最初に入学試験をしてもらいます。ルールは簡単です。三日以内にこの学校の校舎から出てください。どんな手段を使ってくれても構いません。しかし、三日以内に出られなかった場合その時点で入学はなかったことになりますのでご注意ください。では健闘を祈っています」


そこから1時間は全員混乱した。こんな事は聞かされていなかったからだ。この青葉学園は受験なしで応募した人たちから抽選で選ばれるのだ。だから、みんなこんな事になるとは思ってもいなかった。

しかし、1人の男子生徒がこの混乱を止めた。


「みんな1度冷静になるんだ! こんな時こそ冷静になるべきだ! 」


まるで絵に描いたようなテンプレ存在の人がでてきた。こんな状況になったら1人はでてくるよねこういう人。


「あんた誰よー」「こんな状況で冷静になれるわけないだろ!」「俺たちに指図さしずするなや!」


いろんな人からの罵声が飛んでいる。怖いな。

しかし、その1人の男子生徒は気にしていないようだ。


「俺の名前は五十嵐亮いがらしりょうだ。確かにこの状況で冷静になるのは難しいかもしれない。しかし、1時間立っても先生も生徒も誰も来ない。俺たちだけ残されている。生徒会長が言っていたことは本当だということがこれで分かったはずだ。なら三日以内にここをみんなで出るべきではないだろうか」


「確かにそうだよね」「あの人が言うことに一理あるよね」「みんなで一緒に頑張れば出れるよな」


すごいな。ほとんどの人が五十嵐君のおかげで冷静になってきている。


「よし、皆まずは本当に出られないか窓やドアが開かないか確認しよう!」


皆一斉に動き始めた。的確な指示をだすな。

確かにこの状況での最初の指示はそれだと思う。……けど、まあ今はいいか。

さてと、僕もそろそろ動こうかな。ここで動かなっから変な目で見られそうだし。


「そこのあなた」


ん? 僕に言ってるのかな?


「えっと僕になにか用ですか?」


金髪の綺麗な女子生徒に呼び止められた。


「あなたこの状況どう見てるの? あの五十嵐っていう人についていって出られると思う?」


「えっ? そんな事僕に言われてもわからないよ。それよりもあなたは誰ですか?」


「……それは、あなたが入学したら教えてあげるわ。あなたなら絶対入学出来るわ。だってあなたはもう答えを知っているのだから」


そう言って女子生徒は去っていた。一体なんだったんだろう。まあ今は出ることを最優先だな。そして僕の佐藤優樹のゲームが始まった。








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