れでぃ▼ず★がーでぃあん

ふだはる

第1章 異世界の人妻に穿かれて

おはようございます。異世界

 ああ、また面接に落ちてしまった。


 僕の名はマモル。

 体育系大学を卒業してジムのスポーツインストラクターのアルバイトをしながら就活している。

 いわゆる就職浪人という奴だ。


 今は一人暮らしをしている。

 両親は数年前に事故で他界してしまった。

 身寄りが無かった僕は、その時から天涯孤独の身の上になってしまう。

 大学だけは卒業したかったので、アルバイトをしながら頑張って単位を取っていたら、卒業と引き換えに内定を得ることが出来なかった。


 そして今現在に至っている。


 あーあ、今回も結局ダメだったな。

 また、明日から就活を頑張ろう。


 そう思いながら横断歩道の前で信号待ちをしていると、前にいる母親と小さな女の子が言い争っているのが目に入った。


 女の子は顔をクシャクシャにしながら大きな声で泣き喚いている。

 母親も女の子の手を掴んで大きな声で注意をしていた。


 何か欲しいものがあって、それを買ってもらえないらしい。

 よくある日常の一コマだった。


 そこまでは。


 女の子は力一杯に母親の手を振りほどいた。

 そして、こちらに向かって駆けてくる。


 丁度、横断歩道をトラックが横切ろうとしていた時だった。


 反射的に身体が動いてしまう。


 トラックの真正面にまで来ていた女の子を片腕を伸ばして突き飛ばす。

 後方に飛んでいく女の子の姿が、急に横へとずれていく。

 身体全体が押し潰されるような感覚を得た後で、擦り付けられる感じがした。

 視界がグルグルと回る。

 青い空と灰色のアスファルトが交互に見えた。


 やがて全身を激しい痛みが襲って来た。

 しかし僕は叫び声すらあげられないでいた。


 一瞬だけ焦点が合った瞳に母親へ抱きつきながら、こちらを見つめる先程の女の子が見えた。


 良かった、助かったんだ。


 そして、僕は亡くなった。


 ☆☆★☆☆


「どうだい、これは? 正真正銘の総オリハルコン製だぜ? 強度は保証済さ」

「こ、ここまでの強度がいるのかしら?」

「何言ってんだよ。大事な貞操を守る為なんだから幾ら強くても強過ぎってこたぁねぇよ」

「うーん、でもねえ……」

「しかも新品で、この価格! なかなか滅多に出るモノじゃないよ?」

「確かに、それはそうなんですけど……」

「なんだったら、そこの試着室でちょっと穿いてみなよ? それで気に入らなかったら買わなきゃいいさ」

「いいの?」

「いいって、いいって。新品だけどアンタが初めて穿いたからって買い取れなんて言わないよ」


 誰か、おじさんとおねえさんの声がする。


 うーん、うるさいなぁ……。

 人が、せっかく良い気分で寝てたってのに……。


 僕は起き上がろうとしたけれど、身体が動かなかった。

 いや正確に言えば身体を感じられなかった。


 まったく身動きが取れない僕を優しく両手を使って持ち上げる人がいた。


 その人の向こう側に鏡が見えた。


 僕は、その鏡に映った自分の姿を確認する。


 僕は銀色に輝く金属製のパンツになっていた。

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