16話 激突
帝国の神姫を含む増援が、大正門前へと集結。それに対応をするも押される一方であった王国軍。
そこへ、魔力の扱い方が徐々に馴染んできた俺は、一方的な蹂躙をしていた。
しかし、敵神姫が到着。一騎打ちが始まり、俺の『
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『
神姫の周りに急速に魔力が集まっていく。
「なんて量の魔力を集めているんだ……」
それは、一瞬の出来事だった。
上空にいた神姫を中心に100メートルの範囲を雷の斬擊が
「うわぁあぁああぁ! 」
俺の周囲にいたARMEDもその魔法を食らい、機能停止してしまう。
「カナデ様ーーーー!! 」
味方が倒れる中、マリアンヌの声が戦場に響き渡る。
「なんて事ですの……! 貴女がカナデ様をこんな目にしたのですね……許しませんわ! 」
「なんとか大丈夫だ!
だが、気をつけろ……コイツは雷を操る神姫だ……」
飛びそうになる意識をなんとか繋ぎ止めながらマリアンヌへと声を掛ける。
「分かりましたわ。この方が我が王国を落とそうとする不届き者ですわね!! この、マリアンヌ・ガーネットが成敗いたしますわ! 」
声高らかに告げると、マリアンヌの周りに魔力が集まっていく。その魔力が身を纏うフリフリドレスへと流れ込んでいくと、身につけるアクセサリー類までもが攻撃的な機械類へと変貌していく。
「これが、マリアンヌの本気……」
そして、さっきまでぽっちゃりしていたマリアンヌが、出るとこが出て、締まるところは引き締まっているグラマラスボディへと変貌を遂げているのであった。
「さて、小僧。私を怒らせたことを後悔するといいですわ! 」
「小僧?! ボクは女の子だーーー!!」
お互いが叫びながら
「なかなかやりますわね」
「おばさんこそ」
「死ね」
おばさんの一言で、マリアンヌはぶち切れたようだった。スラリとした左脚で目に見えない速度でハイキックを繰り出す。
しかし、敵はなんなく避けるとがら空きになっている右脚へとタックルを仕掛けた。
「隙だらけッス! 」
「フンっ! 」
空振った左脚をそのままの勢いで回転しながら下段への回し蹴りに移行した!
「あぶな! 」
危険を察知した敵はあり得ない挙動でバックステップをしソレを避ける。
「中々やるッスね! もっとどんくさいお姫様かと思って居たッス! じゃあその動きに敬意を表して、ボクも名乗ってあげよう!
ボクの名前は『ツクモ・カミヤ』【レミエル】を宿す神姫ッス! 」
ツクモは、名乗り終えるや否や2槍を召喚しなおし、マリアンヌへと吶喊する。
「マリアンヌ! 2槍使いでトリッキーな動きが厄介だ! 気をつけろ! 」
さっきまでの戦闘での経験を、アドバイスと言うには酷い内容だが叫んで伝える。
「分かりましたわ! 来なさい! 神斧ウルス! 」
マリアンヌは俺に返事をして、神斧ウルスを召喚。いつもの様に上空から降下してきたソレを掴み取る。
「随分な演出ッスね! 流石お姫様。無駄遣いが多い! 」
中槍を上から振り下ろすが、マリアンヌの斧に防がれる。しかし、左手の短槍が
「危ないですわね! 」
マリアンヌは、両手で持っていた
「なるほど」
中槍を外回りに戻しながら、その勢いを使い下から振り上げが迫る。
「小賢しいわね! 」
中槍をウルスを押し出すようにして弾き、体勢を崩させながら斧での一撃を入れる為に振り下ろす。
「単調、単調! 」
ガンッ!!
中槍1本で受け切れると判断したようだったが、甘い。
ウルスの一撃を受けたツクモは、高速で地面へと吹き飛ばされた。
「ふふふ」
マリアンヌが下を見ながら面妖な笑顔を見せたかと思うと、空中で体勢を変え空を蹴った。
「死ねええええええ! 」
マリアンヌは物騒な叫びを上げながら、ウルスに魔力を込めながら吶喊していく。
ドーーーーンッ!
「小娘の癖に生意気ね! 」
土煙が晴れると、2槍を交差してウルスを押さえ込んだツクモと、踏ん張っているマリアンヌの姿が現れた。しかし、その足場は衝撃で窪んでいた。
「いい攻撃ッスね……!! 中々効いたッスよ! 」
そう言うとツクモの姿が消える。
「何?! どこ?! 」
周りを振り返りながらマリアンヌは警戒する。
「こっちッス! 」
突如、ウォーリアーに衝撃が走る。
「なんだ?! 」
「おばさん。コイツがどうなってもいいのかなー。どうやら大事な人っぽいッスけど」
モニターを声のする方へ向けると、倒れているウォーリアーの上に操縦席へと2槍を向けながらニヤついているツクモがそこにいた。
「マリアンヌ! 俺は大丈夫だ! そのままやってくれ! 」
ウォーリアーはなんとか起動している。自分でもなんとかこの状況は打破出来るはずだ。
「お兄さん。彼女の前でかっこ良くみせたいのかもッスけど、そう行かないッスよ」
2槍の間から雷が産まれていく。
「カナデ様!! 」
マリアンヌが悲痛な顔をしてこちらを見てくる。
「マリアンヌ! 早くやれ!! 」
「クッ! 」
マリアンヌは目を瞑りながらガトリングガンを精製し、ツクモへ向け掃射をした。
『
直感的に精神を集中させウォーリアーを包む様にドームを作るイメージをし魔力を練り出す。
これが上手く発動しなかったら、死んだな。俺。
「おばさん頭おかしくなったッスか! 」
ツクモは身体をが雷のようになり、マリアンヌの掃射を避けるために消えたのがモニターから確認出来た。
直後、マリアンヌのガトリングによる掃射が到来。
そして。
それら全てを四方八方へと弾き返した。
「危なっ! 何なんッスかこれは!! 」
雷化から元に戻っていたツクモにも、銃弾の嵐が向かっていたようで、ソレを回避しつつ悪態を吐いていた。
「ハァ、ハァ。これが『魔法』……かなり体力を使うな……」
身体が一気に気怠くなり、肩で息をしながら呟く。こんなシンプルな魔法ですらヤバいのに、メル達はどれたけの訓練をしてきたのか想像が着かない。
「カナデ様! 大丈夫ですか! 」
ガトリングガンでの掃射を終え、俺の元へマリアンヌが近づいてくる。
その目には驚愕と安堵の色が見えた。
「大丈夫だ。それより、ツクモはどうだ? やったか……?」
魔法の事を聞かれる前に、機体を起こしながら話しを逸らす。今魔法の事を追求されて話している間に、反撃される訳にはいかない。
「ふーっ。危なかったッス! あんたは一体何者ッスか! 」
ツクモは額の汗を拭う振りをして溜息をついたかと思うと姿を消した。
ガキン!!
ウォーリアーの後ろで金属のぶつかり合う音が響く。
「危ないですわ! 」
「おばさんは、なんでこんな雑魚にこだわるッスか! 」
ツクモは叫びながら連擊を入れてくる。
それに対応するようにマリアンヌはウルスを巧みに右へ左へと操り俺を護る。
「今ですわ! 」
マリアンヌが2槍を上に弾き上げ隙を作る。
「助けられてばかりも居られない!! 」
その隙を見逃さず、振動刀で横薙ぎを放った。
「んぐっ! 」
入った! 俺の一振りはツクモに直撃し、彼女を右へと吹き飛ばす。
「まだまだですわカナデ様!! 」
「あぁ!! 」
間髪を入れずに武器を振動刀からライフルに変え、そのまま引き金を引く。
それに被せる様にマリアンヌも隣でガトリングガンをぶっ放した。
「クソォォァォァァァア!! 」
土煙が上がるその中からツクモの叫び声が響き渡るのであった。
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