ナイツ・オブ・レディアント ~光り輝く浄化の騎士~

朝霧草

 いつもの景色

序章 夢ー現実

 

 ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!


 けたたましい警告音と共に、視界がクリアになる。

 目の前に青い景色が広がり遠くに3つの点が見えた。

 

「またこの夢か……」


 俺はこの景色を夢の中で度々見ている。

 周りを見渡すとそこがロボットのコックピットだと分かる。

 操縦桿やモニター、数々の計器が並んでいるのであった。

 そして、いつもよりも身体にかかる重力に違和感を感じながらも、この先の出来事に集中する。


「そろそろ敵が来る頃か……」


 そう呟くと、モニターのレーダーに3つの赤い点が表れた。

 気合いを込めて操縦桿を引き、地面スレスレで機体の姿勢を持ち直し加速を始める。

 やはり、いつもより感じるGがキツい。そんなことを思っていると。


「カナデ機、援軍の到着まで持ちこたえてください!」


 女性の声で通信が入る。


「了解」


 一言返事をして、すぐに先ほどと違う警告音が鳴る。


 右、左、急上昇。


 幾度となく繰り返してきた動作で、向かってきたミサイルを避ける。

 その後、反転し射撃ボタンを押す。


 2機の人型ロボットをマシンガンで撃ち墜とす事に成功。残りの1機を振動刀に持ち替え真っ二つに切り裂いた。


「やってることはいつも通りなのに、この感覚の違いはなんなんだ……?」


 先ほどの攻撃すべてに生じる振動が、身体にダイレクトに伝わってきたことに恐怖を感じる。


「カナデ機! 敵神姫しんきの反応あり! その子を連れて早く帰還をお願いします! 」


 切羽詰まった通信が入ったが『神姫しんき』という新しい言葉につい反応してしまった。


「神姫って何のことですか? 」


「何って、今回の作戦は神姫の保護じゃないですか! 貴方の機体に乗ってるはずですよね?! 」


 保護? 乗っている? そんなはずはない。いつもの夢ならこんな会話もないし、神姫なんて言葉も初めて聞く。

 しかし、確認してみないことには何も始まらないと、思い座席の後ろを覗き込んだ。


 そこには小学生くらいだろうか。


 赤髪の女の子が眠っていた。


「少女を確認しましたが、神姫って何なんですか? この子と何か関係がっ?! 」


 その時だった。

 衝撃を受け機体が激しく揺れる。


「何なんだよ! こんなこと一度も……」


「敵神姫からの攻撃です!! 一刻も早く戦線からの離脱を!! マーカーで母艦の方角を確認してください!! 」


 俺は何がなんだか分からないまま機体を立て直し、レーダーに印された星印へ向けてフルスロットルで突き進もうと気合いをいれる。


「逃がさない」


 その気合いを断ち切るように、冷淡な声の少女の声が無線から聞こえてきた。


「くそっ! さっきの攻撃でブースターの出力が上がらない!」


 俺は焦りながらも、冷淡な声から逃げ切れるよう操縦桿を全力で倒す。


 しかし、レーダーに映った白い点が急接近してくる。

 ヤバい。そう感じた時後ろから声がした。


「うう……王子様?! 私どうしてここに?! アイツはドコ?! 」


 矢継ぎ早に質問をしてきたが、どれも俺には答える事ができたなかった。


「王子様は誰かわかりませんが、今神姫? ってヤツから逃げてます」


「えっ。あのっ! その……分かりました! 私がどうにかするので、王子っ、じゃなかった。お兄さんは頑張って逃げてください!! では!! 」


「ちょっ! 待てって! 」


 少女はそう言い残し、操縦席にあるレバーを引き緊急脱出していってしまった。


「なんなんだよ……もう……」


 一瞬機体に穴が開きバランスが崩れたが、すぐに閉じたようで事無きを得た。

 しかし、生身の少女1人でどうこう出来る物じゃないと思い、レーダーを確認するとそこには二つ目の白い点が印されていた。


「あの子も『神姫』ってヤツだったのか……」


 1人納得したものの、2度目の衝撃が機体を襲った。


「カナデ機損傷大! 墜落します! 」


 そんな通信を聞きながら、俺の意識はそこで途切れた。

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