機械胞子のおとぎ噺
月夜平茸
とある森の記録
またロボと髪の話してる……
三重螺旋髪伝器 〜恋する少女と髪狂い〜 解説
三重螺旋髪伝器 〜恋する少女と髪狂い〜 解説
1:これなに?
平茸が参加した、佐都 一(@samiyan)氏の企画『#匿名短編バトル恋愛編』。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885140312
テーマは『不道徳な恋愛』。制限は2500字以内。
そこに応募した平茸初の短編『三重螺旋髪伝器 〜恋する少女と髪狂い〜』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885140312/episodes/1177354054885206469
の解説ならびに弁明となります。
2:人物紹介
烏羽(からすば)……理科教師。30代くらいの痩身の男。髪への愛が強い。旧人類でありながら新人類を理解しようとしている。全ては髪のため。
担当教科は別に決めていない。物理とかはやってると思うよ。
櫛桁(くしげた)……JK2。豊かな黒髪で眼鏡な子。成績優秀。新人類であり、髪伝器を持つ。ついでに論文とかも書いちゃってたり。K教授。
いつもは烏羽を『センセー』呼び。かわいい。
こういう健気な子を一回書いてみたかった。
髪伝器(ハツデンキ)くん……黒くてでっかい機械文明と超能力のハイブリッド・マシン。
10mは間違いなく無いくらいのイメージ。
名前はないが、この機体色は櫛桁ちゃんの黒い髪から生まれ出るものだから。
3:そもそも何の題材なの?
先生×生徒、旧人類×新人類、髪×ロボ、髪×脳、髪×人類……そんなところ。
初期構想は髪とロボ、そこに合わせる題材として、対立軸としての新人類VS旧人類、惹かれ合う生徒と教師。しかし道のりはそう簡単ではない……。
4:どこが不道徳?
王道に(ちょっと気の触れた)先生×生徒をやりつつ、偏執的なヘアー・フェチズムを表すこと。
それらを基盤としつつ、後半では(かなり気の触れた)旧人類と、使命と恋の間で揺れ動く少女、そんな二人の峻烈で届かない純愛を描く。表向きは。
そしてその裏では巨大ロボットや髪への狂気から創世記へ帰着させることで、地下団体機関誌やアトランティス大陸的なダイナミズムを、少女の
そんな露出プレイめいた快楽を、作者たる平茸自身が感じていること自体が、不道徳。
今回の企画趣旨でしかこれを書くことは出来なかった、と自信――もとい強い妄執があります。
5:裏話
○タイトルは最初違うものだった!
初期は『進化諸元髪伝器』、その後『三重螺旋髪伝器』となりました。
そして提出直前に『三重螺旋髪伝器』の後にサブタイトルをつけようってことで、後述する<HHH>との絡みで『三重云々 〜Hair or Heaven〜』が第一候補となったが、何の内容なのかよく分からないってことで『三重云々 〜恋する少女と髪キ○ガイ〜』に決定しかけたのだったが、某氏以前にカクヨムからNG出されて迷惑を掛けたくないので多少マイルドにし、現タイトル『三重螺旋髪伝器 〜恋する少女と髪狂い〜』となった。
○櫛桁ちゃんは元々怪しい団体に所属していた!
新人類の団体であり、髪伝器の建造元である<HHH>――ヘアー・ヘル・ヘヴンと言う名の組織の所属だった。2500に収める際に色々な理由でオミットした設定である。ちなみに、所属がバレないように『串桁』という偽名まで使っていた。もうそんな設定はないので、思う存分髪を弄ることが可能だ。
そしてそもそも彼女はK教授なんぞじゃあありませんでした。
その代わりにD教授とF教授ってのが居た。
○ラストが違う!
初期設定では最後、遠くない未来に二人がHHHを壊滅させた〜という旨の一節が存在していた。
しかし色々な理由から、現在の創世記なんとかかんとか、そんな形になったとさ。もしかしたらこれからHHHが作られたのかもしれないし、そうでないのかもしれないが……まあ二人はそれなりにやっているだろう。
○SF色がもっと強かった!
そもそも新人類と脳、この二つがどんな関係性だったか……それは執筆途中で泣く泣く削除した、烏羽先生のセリフを紹介しよう。
「D教授という人がいる。その人は、『知の成長には頭髪の増強が不可欠』なのだという。彼によると、脳というのは発達の過程で毒素を出し、その毒素は頭髪から排出されるのだそうだ。F教授は、熱も排出されると言う。俗に言う知恵熱だね。しかし、脳の発達は終わりがある。それは、増大する毒素や熱の排出にはいずれが限界が訪れるのさ。人間のキャパシティは本来有限だからね。だから、人間は成長すると皆、同じくらいになるんだ。しかし、そうでない人も居る」
これは髪が老廃物を排出する働きがあるなどの事実から、更に論理を飛躍させて知能の発達から生じる毒素をも排出しなければならない、そういった理屈である。
そして、知能が発達すればするほど毒素の排出量も増大していくことで、いずれ排出が追いつかなくなり発達の終焉を迎える――これが人間の限界である。しかし、そうではない人も居る(つまり君がそうなのだろう?)という烏羽の情熱が導き出した結論、となっているんだよね、うん。
では次。
「脳の限界を超えて進化した新人類が、その叡智にて人類を啓蒙する――それがHHHの掲げる理念。君のその黒髪は、そういう知の炎を体現しているのではないのかな?」
「そもそも知の限界が頭皮面積や頭髪量、頭髪の質などで決まるとしたら、それは超えることの出来る限界だ。そして常人を超える豊かで
簡単に言えば、『君の髪ってちょー長くて黒くてすごくて綺麗だから毒素や熱の排出が止まらずに脳もすっげえ発達したよね? つまり新人類だしHHHに所属してるんだよね? ついでに偽名だよね?』ってこと。
これまでの事を総合すると、新人類の団体であるHHHはすっごい髪持った人の集団ってことで、烏羽先生のみならず平茸にとってもユートピアである可能性は高い。
○もっとねちっこいプレイをする予定だった?
例えば『眼鏡のフレームに掛かった数本の髪を吐息で浮かしつつ指にふわりと乗せる』や、『窓を暗幕で隠し、髪をアルコールランプの灯りに照らして部屋中に投射する』などのプレイを考えていたがまあ2500ってのはきついものでやめました。
ちなみに、髪は全てを飲み込む海であり、また始まりから終わりまでめらめらと揺るぎ無い炎でもある、そんな裏テーマもあったりなかったり。
○ロボットが腕だけなのは文字数削減!
全身書いたらそれだけで2500行ってしまうから、涙をのんで腕だけ登場してもらうことにしました。
○この解説2500文字超えてない?
そうだね。
6:最後に
2500文字以内、しかも初めて書く短編ということもあって、子実体のいつも使っていないところを目覚めさせる作業は中々気力を必要とした。
しかし、この経験は間違いなくこれからのロボにつながり、何より結構楽しかったことは最早疑いようの無い事実だ。
『機械巨神のおとぎ噺』の読者の方々にもきっと良い影響があると思うから、今からでも掲載されている他の作品を色々読むとか、もしくは計画されているらしい短編コンテスト第二回への準備を整えてみると良いかもしれない。
応援をポチってくださった方は勿論、ちょろっと読んでくださった方にも、ありがとうの言葉を胞子として贈呈します。
楽しんでくれた松茸お兄ちゃんたち、ほんとーにありがとっ!
そして企画の発起人である佐都 一(@samiyan)氏には感謝の言葉しか無いです。タイトルからしてアレなこの短編を受理していただいて……もう菌糸が出ちゃいそう。ありがとうございました。
予告。次のレビューは『SF』です。マジでSFでロボっすよ。
2018年3月5日 月夜平茸
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