天翔ける2つの流星

にころ

第1話

きっかけはささいなことだった。ただよくシフトが被るから少し話しかけて仲良くなってみよう、そんな程度だ。

私達は一体どこで変わったのか……


星はいつも同じ姿をして私達の周りを廻っている

私達もその星々のようにいつまでも変わらない関係でいるつもりだったのに……


私達はぶつかり、交わった。そしてお互いの生活は一変した。

私はこのひとときの大切な出来事をなるべく日記のようなものとして、書き残すことにした。

これは私の人生で最も幸せで刺激的な、どこか間違った歪なアイの物語。



四月八日

この日はきっと忘れたくても忘れられない日だろう。

私はこの前の晩、気が付いたら溺れていた彼に自らの思いを告げた。

バイト先が同じ彼は、私よりずっと歳下。

彼はまだ大学生。こんな歳上の私が好意を寄せてるのを彼は良しとしないかもしれない、でも私はこの気持ちを隠すことが無理!だから想いを告げることにした。


四月九日

どうにも気恥ずかしいまま私は仕事をすることになってしまって憂鬱…

大丈夫、彼は今日はシフトにないから来ない……

しかし、彼は近所に住んでいるので朝客と店員として会うこととなってしまった。

お腹が空いているらしいので、そのまま朝ご飯を渡しておいた。

なるべく平静を装って応対したが大丈夫だったかな?休憩時間が待ち遠しいようなまだ来て欲しくないようなそんな気持ちのままその日の仕事を終えた。

彼からの返事はまだない。既読はついてるから見てないわけではないだろうけども…

彼の返事が来ないのが苦しい……

こんなに待たされると私、期待しちゃうよ?振るならさっさとして欲しい…そうじゃないとあなたの事、諦めきれないから。


四月半ば

この間の記憶があまり無かったけど、私は彼に振られる事なく過ごしている。

彼は私を拒絶こそはしなかったけども、完全に受け入れてくれたわけでもなかった。

でも、私は彼が傍にいて、私のことを見てくれていることが嬉しかった。

幸せだった。

休憩が被ると彼とスキンシップをとったりもしたし、ご飯に連れて行くと美味しそうに食べてくれた。

今度の休みは何をしようか、そんなことばかり考えるようになった。

まだこのような関係になって2週間ほどだけど、この幸せな時間が永遠に続くと私は信じていた。

段々と彼は私に甘えてくるようにもなっていた。

キスしたら応えてくれるし、ハグも日常茶飯事となっていた。

彼が私に頼ってくれる度、幸せな気持ちでいっぱいになるし、なにより私無しで生きていけないようになっていくのがたまらなく嬉しかった。

私はとっくに彼無しでは生きていけなかった。

彼がいるから仕事も頑張れたし、彼がいたからいま生きていると感じられる。

私をこんなにも魅了したのだから、私のこと拒絶したら許さないからね?


四月末

いよいよゴールデンウィークがきた。

仕事もあるけどそんなの全然苦じゃない。

だって彼と一緒の時間の方が多いもの。

今日のデートは彼とカラオケデート。

夜にシフトが入ってるせいであまり遅くまで居られないんだよね。悲しい。

それまで目一杯楽しむことにしよ。

「今日は楽しかったね?今度のデートはお洋服買いに行こうね。」

『そうだね!バイト頑張って!洋服選んでくれるの嬉しい。』

「ありがと。頑張ってくるね。」

離れる時はなるべくあっさりと離れるようにしている。

だってそうしないとどんどんしんどくなるから。

離れてる時間がすっごくしんどい……

本当なら彼を閉じ込めて四六時中見守ってとことん甘やかしてあげたい。

でも、現実はそんなに上手く行かない。

だからなるべく自分が苦しくならないようにしてるの。

お陰でめんどくさい女だとあまり思われてない…はず。

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