第17話 獣王の力
「ふん、閣下に王子が出るまでもない!! このゴナアが叩き斬ってくれる!!」
そう言うとゴナアは巨大な戦斧を構える。
魔将軍に任ぜられるだけあってゴナアはかなり優秀な戦士だ。
だが、対峙するガザフもかなり強いだろう。
両者の距離が縮まる。
「ふん、悪いが簡単にやらせてやるつもりはない。このガザフの力、見せてやろう」
ガザフは上着を脱ぐと前に出る。
「こりゃ!! ゴナア!! 兄ちゃんの相手はうちがやる!! お前は引っ込んでいろ!!」
プチナが突然横から割って入る。
「ふん、何を言っている! なぜ、そちらの事情に合わせねばならん!!」
ゴナアはプチナを押しのけようとする。
ゴナアとしてはプチナの事情など知った事ではない。
ゴナアとプチナは争う。
それを見たクロキは何をやっているんだと思う。
「何をしているかわからんが。同時に相手をしてやろう……。飛爪刃!!」
呆れたガザフが腕を振るう。
その爪から斬撃が放たれプチナとゴナアに飛ぶ。
斬撃はプチナとゴナアを襲うが両者とも避けきれない。
「ぐぬっ!!」
切り裂かれ、プチナは呻き声を上げて後ろに倒れる。
「ふん!! この程度!! 何ともない!!」
それに対してゴナアは無傷だ。
彼の
爪の斬撃では鎧に傷をつける事ができないようだ。
ゴナアは戦斧を構えてガザフに向かう。
その動きは速く、とても重装備の戦士とは思えない。
ゴナアはガザフに迫ると戦斧を振るう。
ゴナアの持つ巨大な戦斧は魔法の武器だ。
鋼であっても簡単に斬り裂くだろう。
ガザフは後ろに下がり避ける。
「逃げるな!! 獣王を名乗る者よ!!」
ゴナアは巨大な戦斧を振り回し、ガザフを追う。
「
ガザフは追ってくるゴナアに魔法を放つ。
小規模な爆裂がゴナアを襲う。
ゴナアは魔法の直撃を受けて吹き飛ばされる。
「魔法!? しかも、あれ程小規模に威力を押さえて?」
クロキはガザフが魔法を使った事に驚く。
人熊や大きな熊人は魔法が苦手だと聞いている。
爆裂魔法は扱いが難しく。
腕の悪い魔術師だと暴発する事もあるが、ガザフは見事に扱っている。
そこにクロキは驚く。
「うう、兄ちゃんはすごく優秀な魔術師なのさ……。うちらの一族では非常に珍しいのさ」
身体が斬り裂かれたプチナが起き上がる。
傷跡は見えない。もう傷が治ったようだ。
自己回復力はさすがである。
また熊人にも魔術師はいるがほとんどが小さい種であり、ガザフのような体格の者が魔術師なのは珍しいようである。
「ほう、あの図体で魔術師だったのか? これは意外だぞ」
クーナも驚く。
爆裂魔法を使ったガザフは追いうちをかけず、吹き飛ばされたゴナアを見る。
「ふん! 驚かされたが、この程度ではこのゴナアは倒せんぞ!!」
ゴナアは何事もなく、立ち上がる。
鎧に傷がついているようにも見えず、ゴナアも特に怪我をしている様子はない。
ゴナアの魔鎧はかなり耐魔法にすぐれているようだ。
「さすがは魔将軍。これぐらいで倒せるとは思ってはいない」
ガザフは笑う。
その笑みには余裕がある。
「行くぞ!!」
ゴナアは再び戦斧を構えてガザフに迫る。
「
再びガザフは魔法を放つ。
しかし、今度はゴナアを吹き飛ばす事はできない。
「ふん!! 来るとわかっていれば耐えられるわ!! 死ねい!!」
ゴナアはガザフに迫ると戦斧を振り上げる。
だが、それの斧はガザフに届く事はなかった。
「かかったな!
ゴナアはあと一歩のところで足が動かなくなり、体勢を崩す。
「何!? ぐっ!!? 何だこれは!?」
ゴナアは何とか立ち上がるが、その場から全く動けない。
「はああっ!!」
すかさずガザフは口から衝撃波を放つ。
衝撃波はゴナアの腕に当たると戦斧を吹き飛ばす。
体勢を崩し、斧を持つ手の力が緩んだようだ。
「さて、純粋な力比べといこうか」
ガザフはゴナアに近づくと掴みかかる。
「何を!! 返り討ちにしてくれ……!! ぐっ! これは!?」
ゴナアは対抗しようとするがガザフに押されている。
「ゴナア将軍!!」
シャーリが慌てて助けに行こうとする。
「させん!! があああああああ!!」
突然ガザフが咆哮する。
するとシャーリの足が止まる。
恐怖の咆哮。
その咆哮には魔法が込められていて聞いた者を恐怖させる。
精神魔法に耐性があるシャーリの足を止めるのだからかなりのものだ。
足が止まったのはシャーリだけではない。
クロキの周りにいる者の大半も動けなくなっている。
「ぐがああああああ!!」
ゴナアは叫び声を上げる。
力負けしたゴナアの背がへし折られたのだ。
魔鎧で筋力をかなり強化されたゴナアを力で上回っているようだ。
「ふん!! こいつは返すぞ!!」
ガザフはゴナアを投げて返す。
クロキはゴナアを受け止める。
気絶している。
これは仕方がないだろう。
「クーナ。治療をしてあげて」
クロキはクーナにゴナアを渡す。
「わかったぞ。仕方のない奴だ」
クーナは仕方がないとゴナアに治癒魔法をかける。
背骨が折れているが、クーナの治癒魔法なら完治できるだろう。
治癒されるとゴナアの口から気持ちの良さそうな声が発せられる。
気を失っているが、治癒魔法がかけられているのはわかるのだろう。
「次はうちが行くのさ……」
プチナが前に出る。
だが、その足は震えている。
おそらくプチナでは勝てないだろう。
「やめておけ。プチナ。お前では俺には勝てん……。俺の死は別にいる」
ガザフはそう言ってクロキを見る。
「ガザフ……」
ガザフの後ろにいるウラジラが悲壮な声を出す。
すると後ろにいる者達が武器を取り出す。
「来るな。おそらく全員でかかっても勝てん。死ぬのは俺だけで良い」
ガザフは一緒に戦おうとするウラジラ達を止める。
「そう、覚悟はできているんだね……。ではやろうか」
クロキは魔剣を呼び出し、構える。
このまま逃がす事はできない。
だけど、そんなクロキのマントを引っ張る者がいる。
クロキが振り返るとリウキがマントを引っ張っている。
「お待ちください。父上。自分がやります」
リウキは真っすぐにクロキを見ている。
ガザフの咆哮でリウキは恐怖しなかったようだ。
その目は真剣である。
「その通りだぞ。クロキ。ここはリウキにやらせるべきだ」
クーナはリウキの肩を叩いて言う。
クーナもリウキと同じように恐怖はしていない。
他に大丈夫そうなのはクロキを除けばポレンぐらいだろう。
「師匠。ぷーちゃんのお兄ちゃんは強そうですよ。やめた方が良いのではないでしょうか?」
そのポレンがクーナを止める。
ガザフの咆哮を聞いても平然としている。
さすがはモデスの娘である。
「その通りです。リウキ様をあのような魔獣の相手をさせるなんて」
メリサも止める。
闇エルフの姫メリサの足は震えている。
他の闇エルフが座り込んでいるのに立っているのは大したものだが、戦いは無理だろう。
それに対してリウキの足に震えはない。
ガザフの咆哮に耐えたようだ。
クロキはリウキを見る。
真剣な目であった。
「わかった。リウキ。でも、危なくなったら自分が出るからね」
クロキは溜息を吐くと了承する。
リウキの決意は固そうだ。
ならば仕方がない。
「ありがとうございます。父上」
リウキは剣を抜くと前に出る。
「何!? 子どもが俺の相手をするというのか!?」
ガザフは少し驚くと怒りの表情を浮かべる。
「そうだ!! 獣王ガザフ!! 自分が相手をする!! はあああ!!!」
リウキはそう言うと突然咆哮する。
部屋に咆哮が響く。
(これは? 竜の咆哮?)
クロキは驚く。
リウキは竜の咆哮を使ったのだ。
「な、何よ……。これは……」
ガザフの隣にいたウラジラが膝を地面に付ける。
膝を付いたのはウラジラだけではない。
ガザフの配下の獣人達がリウキの咆哮で動けなくなったようだ。
そんな中でガザフだけは平気な顔をしている。
ガザフは少し嬉しそうであった。
「なるほど、少しはやりそうだな。いいぞ相手になってやる」
ガザフは両腕を広げる。
「獣王ガザフ!! もし、自分が勝ったら!! 自分の子分になってもらう!!」
リウキは剣を突き付けて言う。
その言葉にガザフはきょとんとした顔した後で笑う。
「がははははは!! 良いだろう!! この俺に勝ったら!! 子分でも何にでもなってやる!! だが、俺が勝ったら!! こいつらの命は助けてもらうぞ!!」
ガザフはそう言って部下達を見る。
自身の命乞いはしないようだ。
そこに少し好感がもてる。
「そ、それは、自分の一存では決められない!! だけど、努力はする!!」
リウキははっきりと言う。
不確かな約束をしない事は誠実といえる。
だけど、それで相手は納得するかは別だ。
「ふむ、なるほど。まあ良いだろう。面白い。ではやろうか」
ガザフはリウキとクロキを交互に見比べて笑みを浮かべる。
リウキとガザフの戦いが始まるのであった。
★★★★★★★★★★★★後書き★★★★★★★★★★★★
更新です。
nanobananaが面白いです。
とりあえずフィギュア化をしてみました。
レーナとクーナのフィギュア化
https://kakuyomu.jp/users/nezaki-take6/news/16818792440667875711
トトナとポレンのフィギュア化
https://kakuyomu.jp/users/nezaki-take6/news/7667601420060535386
実際に本物のフィギュアにして欲しいですが、今はこれが限界です。
他にも面白そうなAIが生まれてきているみたいです。
どこまでできるか色々とためしたいと思います。
ちなみにnanobananaで遊んでいたら執筆の時間がなくなり、かなり急いで書きました。
最後に
誤字やおかしなところがあったら報告してくださると嬉しいです。
ギフトを下さった方々、本当にありがとうございます。
執筆の励みになります。
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