閑話・三輪車弄り(試運転)
バラバラになった駆動系を「あら京さん、またバイク屋さんしたはるの?」などとご近所に言われながら組み立てた後は試運転です。本当は出掛けない方が良いのですが、こればかりは道に出ないと出来ません。
「農免道路を走ってから本屋へ寄って帰って来ます」
本屋さんはおじさん一人が経営している小さな店です。最近の京は基本的に職場と家の往復のみな毎日です。不要不急の外出は避けなければいけませんが、今回は注文していた本が届いたので取りに行きます。
「本当は大型書店でブラブラと本探しをしたいんですけどね」
一応ですが田舎町なりに大きな書店は有ります。そこは人が多いので当分の間は行きません。
話がそれました。早速試乗です。エンジンは何事も無く始動しました。今回は分解ついでにキックシャフト周辺のグリスアップもしておきました。ホンダのスクーターはキックペダルが戻らないトラブルがチョコチョコ起きるようです。ついでにやっておくと良いでしょう。
「おおっと、これは体感できる違いです」
マフラーを交換した当初はスタート時に地面を足で蹴らないと周囲に迷惑をかけそうなくらいに鈍くさい動きでした。信号待ちで停止すると十メートルくらいまともに加速せず、時速十キロあたりから元気になって加速を始めていました。
「ゼロ発進こそ鈍臭さは残っていますが、タイヤが一転がりするとパワーバンド(エンジンが力を発揮する回転域)に乗って加速して行きます」
出来れば発進時からパワーバンドに乗せていきたいところ。もう少しウェイトローラー(以下WR)を軽くすると良かったかもしれません。
「今回は三グラム軽いWRを使ってこの結果です。ここからさらに煮詰めると更に良くなるでしょう」
測ってみたらパワーバンドに乗るまでの距離は発進時から一メートル弱と言ったところ。これなら後続車にそれ程迷惑をかける事は無いでしょう。
「WRを軽くし過ぎると変速が出来ず、最高速が頭打ちになるそうです」
コンマ五グラムの単位で販売されているWRを三グラムも軽くしてしまいました。これはかなり大胆な事です。最高速もチェックしてみましょう。最高速のチェックは私道で行います。原付一種の法定最高速度は時速三十キロです。今回は我が家の畑がある一帯の農道を走ります。庭を走っているのと同じです。
「ここでも変化が解りました。最高速は変わりませんが、加速のフィーリングが段違いに良くなっています」
WR交換前は変速タイミングが早過ぎでした。発進後すぐに目一杯まで変速をして、その後はエンジン回転数に合わせて速度が出る感じでした。まるで発進後すぐにトップギヤに入れてしまったような感覚と言えば解りやすいでしょうか?
「エンジン回転数が一定のままスピードが伸びていきます」
今まではパワーバンドに乗らないので加速が鈍かったんですね。WR交換後はエンジン回転数はある程度までほぼ一定で、最高速直前で変速が終了しているみたいです。エンジン回転数がわからないので「~みたい」としか言えませんが。
「エンジンの力が出る回転域で走れる状態に近づきました。もう少し煮詰めたい気がしますが、今回はここまでにしておきましょう」
もう少しセッティングを煮詰めたい気がします。でも私の身体がもちません。最近私は仕事が忙しくてヘロヘロです。楽しく通勤をしようとせっかくバイクを直したのに、そのバイクの修理が原因で仕事に穴を開けては社会人としてアウトです。
「体を休めるのも社会人としての仕事です」
どうしても我慢できない程じゃないから今回はここまで。くたびれた原付が蘇るのを読みたい方は次回の『京丁椎とスーパーカブ・その他ミニバイク』をお楽しみに。ではまたお目にかかりましょう!
……某CSの番組みたい(笑)
次回からエンジン組み立てに戻ります。
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