猫神の祝福(仮)
山猫のすゝめ
第1話
目が醒めるとそこは教会の様な場所のステンドグラスが光り輝く場所だった。
そこは、とても広くとても綺麗な空間であった。
「おや?これはこれは小さなお客さんですね。」
(!?)
煌めく光に気を取られていると背後から声がした。
咄嗟に振り向くとそこには自分の視線を上に上げるほど大きな神父の様な格好をした若い青年が微笑みを浮かべながら立っていた。
「君は何処の子かな?この街では見たことがない子の様ですが?」
大きな神父姿の青年が問いかけてきたので、声を出そうとするが、何故か声が出ない。
「おや?声が出ないのですか?ふむ、捨て子ですかね?」
(声が出ない!?てか、神父?でかくないか!?それに捨て子だって?もう、訳が分からない。)
俺はそう思った。
「まぁいいでしょう、迷える仔猫よ神はどんな仔猫であっても見捨てることなく、暖かい食事を分け与え、暖かい寝床を分け与え、暖かい心を育てます。」
何故か喋られないでいると、どんどん話が進んでいき、神父?が祝詞の様な言葉を手を組みながら語りかけてきた。
(仔猫ってなんだ?迷える仔羊じゃないのか?)
俺が疑問に思っていると神父はくるりと反転すると、こちらに顔を振り返ると手で扉の方へと進む様に促してきた。
「さぁ、迷える仔猫よついて来なさい。」
その言葉に従い俺は、神父の後をついて行くことにした。
扉を抜けると、通路があり、壁には間隔を開けながら蝋燭に火が灯り、通路を照らしていた。
しばらく歩くと、扉があり中へ入る様に促された。
「さぁ、中へどうぞ。仔猫の祝福を確認ましょう。」
(祝福ってなんだ?確認するってことは何か見えるってことか?)
現状がよく分からないが、取り敢えず言われるままに従うことにした。
部屋の中に入ると、蝋燭が灯る質素な部屋で、低めの机とクッションの様な物があり、あり、机の上には大きな水晶の様なものが鎮座していた。
訳が分からず首を傾げていると神父が話しかけてきた。
「どうしました?祝福を確認した事が無いのでしょうかね?さぁ、ここに座りなさい。」
そう言って机の前に大きめなクッションの様な物を置き、座る様に促された。
クッションは少し硬く、あまり柔らかくは無かった。
「仔猫よ、この祝確石に手を添えなさい。」
(シュカクセキ?この水晶の事かな?)
訳が分からないが、言葉に従い水晶に手を伸ばし添えることにした。
すると、水晶が一瞬輝き水晶の中に言葉が浮かび出した。
(なんだこれ!?ホログラムの様な技術か!?っていうか、この文字はなんだ?日本語じゃ無いし英語でも無い様だけど、何故か読める。)
水晶の中には、見たこともない文字で書かれた言葉が浮かんできた。
何故だか読むことのできるその文字を読んで行くことにした。
【名無し】(男)
・年齢:4歳
・出生地:不明
・状態:健康(声帯異常)
・属性:
・特殊:猫
・祝福:
(訳が分からない。
ツッコミどころが多すぎて何から突っ込んでいいのか分からない。
名前が無いってどういうことだ?
俺にはは、
俺がそう思っていると、神父が驚いて声を出した。
「まさか!そんな!海空猫神アラセオ様の祝福だって!?主神様の祝福を頂けるなんてまさか!?属性もこの歳でトリオだなんてあり得ない!それにどれも上級属性じゃ無いか!?出身地も不明だし、特殊の猫って言うのは何なんだ!?」
神父はそう言いながら、頭に両手を当てて驚愕していた。
訳が分からないが慌て様からして尋常では無い事が書いてあった様だ。
それから、神父は頭を抱えて蹲ってしまった。
(こんなわけわからない物があるってことは異世界にきたって事か?まさかそんな事が実際にあり得るのか?それに海空猫神アラセオって言うのは神様でいいのか?神父が主神って言うくらいだから一番偉い神様って事か?ってか、いい歳したおっさんだった俺が4歳ってどう言う事だろうか・・・。それに声が出ないのは、声帯異常っていうのが原因なのか?)
疑問に思う事が多い中、神父が頭を抱えながら時間が過ぎて行くのであった。
暫くすると神父が落ち着いたようで話しかけてきた。
「此れはすごい事です。あなたは主神様の祝福を頂いている様ですね。捨てた親は何と言う罰当たりなのでしょうか、いや、この仔猫の健康状態から大切に育てられていた事が伺えるので何か理由があったのでしょう・・・。」
神父は経緯を考えている様で、眉間を抑える様にしながら考えだした。
「仔猫よ、あなたには名前が無い。このままでは名を呼ぶ事が出来ないのですが私が名をつけてもいいですか?」
どうやら名無しのままでは生活に支障があるらしい。
(確かに名前が無ければ読む良き困るしね。)
取り敢えず頷いておくことにした。
「そうですか、では良い名を考えましょう。気に入った名前の時は縦に首を振って嫌な時は横に振ってくださいね。」
そう言うと神父はいくつか候補を挙げてきた。
「そうですねぇ、バンバなんてどうでしょう?おや?嫌ですか・・・。では、ロゼッタ!だめですか、ウシオ、マオ、ジオ、グオ、ガオ、ブオ・・・。ふむ、気に入りませんかそうですねぇ。」
(名前の候補が酷すぎる。
バンバって俺は馬か?
荷運びでもさせる気なのか?
それに、ロゼッタって女につける名前じゃ無いのか?
ウシオって牛男かよ、ってか途中から面倒になってるだろ、候補が浮かばなくなってきたか?
マオで頷いておけばよかったかもしれないな・・・。)
次の候補が上がり、首を横に振りながらそう思った。
「んー困りましたね、なにか他にないでしょうかねぇ・・・。んーそうだ!主神様の祝福を頂いていますのでアラセオ様の名前から頂いてアセなんてどうでしょう!」
(それは無い。汗ってそれは無いわぁ、てか何故そこを抜いた。この神父名付けが致命的すぎるだろ。)
おれは必死に首を横に振った。
「おや、ダメですか?いいと思ったのですが、では、アセがだめならアオなどどうでしょう!」
(アセよりはいいか・・・。ここで頷かなかったら次に何が来るかわからないし、神父が飽きて適当に名付けが終わったら目も当てられない・・・。ここら辺で妥協かな。)
俺は、喋れないので妥協点を決め頷くことにした。
「おぉ!決まりましたか!では、今日からあなたの名前はアオです!いやぁ良かったですね。では命名の儀を執り行いましょう。」
(命名の儀ってなんだ?今のアオです!で決まったんじゃ無いのか?)
疑問に思っていると神父が手を組み祝詞の様なものを紡ぎ出した。
「名も無き仔猫よ、今主神アラセオの名の下に何時に命名の儀を執り行う。汝の名はアオ、如何なる時でも汝に幸運が降り注ぎ進むべき道を照らして行く事を願うものなり。」
神父がそう言うと、蝋燭の光だけだった部屋の中のはずなのに頭上から光が降り注ぎ俺を照らしたのだ。
(何だこれは・・・。部屋の中なのに頭上から光ってどうなってんだ?)
もう訳がわからないよ。
「さぁ、迷える仔猫アオよ今日からあなたは
(何故だかわからないが宗教に加入してしまった様だ。まぁ、名前も貰って住むところも分からなし世話になる事にしよう・・・。)
幸先は不安であるが、保護して貰えそうなので何とかなるだろう。
これから先、どうなることやら。
"グゥ〜"
(・・・。)
「おや?お腹が空きましたか?紹介が終わったら食事にしましょうね。ふふっ。」
はぁ、本当にどうなる事やら。
猫神の祝福(仮) 山猫のすゝめ @karurakim
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