わたしとモノコト
キツノカ
第1話 わたしとほどける
あらゆるものがほどける様を想像する。目の前を歩いている女の人が踵からほどけていき、細いヒモ状になっていく。ヒモ状になった彼女の先端を親指と人差し指でつまみながら「気分はどうですか?」と聞きたい。ヒモになった彼女を集めて、わたしは自分の身体にぐるぐる巻きにする。わたしが動く方向とは反対に動こうとするヒモに引っ張られて転んでしまう。
ほどけていくと内側には何が詰まっているのだろう。ほどけることで内側にあるものが露わになるのか、何も無い空っぽの空洞が広がっているのか、いろんなものがほどけていく。
「ほどける」とても柔らかい響きで口に出すと唇の先が濡れているのが分かる。舌を出して舐めようとしたわたしの口からにちゃという音がして、この官能的な音自体をほどきたいと思った。
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