最終話 片割れ
― 王国歴1028年-1108年
― サンレオナール王都
その後ビアンカとクロード夫婦は一男一女に恵まれた。ビアンカが第一子を身ごもっている時のクロードの過保護ぶりと、産気づいた時の慌てようは王妃に一生からかわれることとなった。
魔力の強い者ほど短命だというのが王国の定説だったが、二人が出会ってお互いの魔力を相殺出来て体の負担が減った為か、子供も授かり二人とも孫の顔が見られるまで長生きできた。
晩年のある日、クロードは自分の生が尽きようとしているのを感じとっていた。
「貴女より先に逝くのが心残りでならない。また貴女を一人にしてしまう私を許してくれ」
ビアンカは寝台に横になっている夫の手を優しく握る。
「いいえ、私には分かります、私もそう長くないでしょう。すぐに貴方の許へ参りますわよ。だってクロード、私は貴方と共にあるためだけに生まれてきたのですものね」
「私の人生は幸せに溢れていた。王宮で貴女に出会ったあの日から」
「ええ。私もあれからずっと貴方のお側に居られて幸せでした」
「ありがとう、ビアンカ……」
「貴方の魔力を、貴方の存在を感じることが出来なくなると私生きていけるでしょうか……」
クロードの最期を看取ってわずか数日後、ビアンカも少しでも離れていられなかったのだろう、眠るように息を引き取った。
王国に時は流れた。奇しくもクロードが覚醒した丁度百年後、二人の玄孫に当たる子がクロード並みの大魔力を覚醒したのである。
今回はフォルタンの残した記録のお陰で、片割れとなる白魔術を持つ者は何とまだ母親のお腹にいる時点で確認できた。
そしてこの二人も結ばれるまで紆余曲折は経たものの、その後片時も離れることなく仲良く寄り添い、共に魔術師として王国の繁栄に貢献したのだった。
『見つけた、愛しい片割れよ。早く生まれておいで……』
――― 完 ―――
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