第11話 ご機嫌スザクさん

「おー!ここが病院!大っきいね!」


「この中で走り回りたくなってきた!」


「やめなさい」


駆け足をするルルをカラカルが注意していると、二人のフレンズが病院から出てきた。


「あ!あれってゲンブとビャッコじゃない?おーい!」


「ん?あれを見ろゲンブ。サーバル達ではないか?」


「わしにもそう見える。しかしここまで何をしにきたのだ」


「それは向こうから教えてくれるだろ」


二人の守護けものの元にサーバルは駆け寄って話をした。


「もう歩いて大丈夫なの?」


「ああ、見舞いか?それならわしらは問題ない。が、力は大半を失っておる。矢張りアレの封印に力を使い過ぎたのう」


「そうだな、スザクとセイリュウは特に危ない状態だったから私たちの様に歩き回れるのはもう少し先だな。」


「うみゃ…あの時の話はしたくないな…」


「……そうじゃな、大切な友をなくしかけたんじゃ、無理もあるまい」


「どうしたの?サーバル。」


気づけばサーバルに追いついていたカラカル達。セーバルはサーバルの心境を知らないで話しかけた。


「……セーバル。えへへ、なんでもないよ」


「!、いきなりなに?くすぐったい」


サーバルは突然セーバルを抱き寄せ、頭を撫で始めたり、頬ずりしたりした。

セーバルは突然の事で戸惑い、嫌がっているがサーバルは知らんぷりする。


「…そこまでにしときなさい、サーバル。セーバルが嫌がってるわよ」


「えー」


名残惜しそうにサーバルはセーバルから離れた。セーバルはしばらく頬ずりされた箇所に手を置いて、ボーッとしていたが、すぐにサーバルの前へ躍り出るとそのまま頰を擦り付けた。


「ふにゃ!?せ、セーバル?」


「やり返し。」


ただ一言、そう言ってセーバルはさっきサーバルにされた様に、頰ずりをした。


「はぁ…ほら、行くわよ」


「「はーい」」


サーバルとセーバルは手を繋ぐ、そして今再び顔を合わすと笑顔を見せ合った。


「ずっと一緒だよ!」


「うん…!」


そして、一行は病院の中へと入って行った。


「………わしらは守れたのか、あの笑顔を」


「ああ、そして、これからも守るのさ。力はないが、出来ることは多い。それにいつまでも消えたままでもないしな。」


「そうだな、よし、では行くぞ。美味いケーキがわしらを待っておる。」


「それもそうだな」


二人は病院を離れ、道を歩いて行く。

そこには先ほどまでの暗い雰囲気は消えていた。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「ええっと、この部屋だよね?」


「そうね、さっそく入りましょう」


ギンギツネがそう言ってガラリと扉を開けるとすぐに黄色い歓声が飛び込んできた。


「お主らを待っておったぞ!さあ、土産を寄越せぃ!」


そこにはえらくご機嫌さんなスザクと驚いた顔をしているセイリュウがいた。

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