お線香

 邪魔する風を よけながら

 お線香の束に 火をつける

 あっという間に 白が広がり

 煙は寄り添い くるくる回る


 懐かしい 慈悲深い

 あたたかいけれど 清涼で

 気高くて なめらかで

 はかなくて 心地良い


 お線香の香りが 大好き

 尊い世界を 想わせる

 静寂に満ちた 香りが大好き

 魂に沁みる この香りが大好き


 いつまでも いつまでも

 味わっていたい この香り

 ほのかに消えて いくけれど

 記憶にはしっかり 残ってる


 煙は天へと 昇っていくが

 心は静かに 地に落ち着いて

 亡き人にただ 思いを馳せる

 香りをともに 分かち合う

 亡き人と春を 分かち合う

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