天使の指輪

KURO

1章 編入式編

第1話 天使の指輪

 おれは、市ヶ谷冬馬いちがやとうま

 このはるから、編入へんにゅうすることになったこの学園がくえんは、死後の境界線デスゲームばれている。

 なぜ、この学園がくえん編入へんにゅうすることになったかとうと、はなせばながくなるのだが、端折はしょって説明せつめいするとだな。

 おれはかつて天使エンジェル契約けいやくわしてたらしく、なんでも、おれみぎ薬指くすりゆびにはめてある指輪リングが、天使の指輪エンジェルリングばれてるらしく、この学園がくえんばされたのだ。

 おれには、さっぱりわからない。

 ここへれてきたのも、いまとなり一緒いっしょあるいているおんななのだ。

 は、清楚せいそ大人おとなしそうなのに、なんとも我儘わがまま胸元むなもと

 これは、いくつあるのだろうか。

 それはそうと、おれはそんなこんななことがあり、いまは、理事長室りじちょうしつかっていた。


 もんくぐって、しばらくあるくが、なんともひろ学園がくえんで、迷子まいごになりそうなくらいだ。

 すこあるいたところで、おんなあしまる。

「あ…市ヶ谷いちがやくん、編入手続へんにゅうてつづきがわってもやることがあるので、呉々くれぐれかえらないように……わかった?」

 そういうと、そのおんなあわてるかのように、一人ひとりさきにどこかへってしまった。

 せめてこんな校舎こうしゃのどなか放置ほうちプレイはないだろう。

 とにかくおれは、理事長室りじちょうしつ場所ばしょくことにした。

「あ、すみません、理事長りじちょう……」

「ひぃぃぃぃぃぃ〜〜」

 まだなにってないのに、なにかにおびえるかのようにげていく。

理事長室りじちょうしつは……」

「ご、ごめんなさいーーーー」

 またおな状況じょうきょうだ。

 何度なんどたずねても、理事長りじちょうというだけで、みんなげていく。

 そんなにこわひとなのだろうか。

 それとも髭面ひげづら親父おやじくさひとなのだろうか、おれはかえってはやいたくなった。

 だれいても、理事長室りじちょうしつ場所ばしょはわからない。

 おれはとにかく自分じぶんさがすことにした。

 ひたすらにあるくこと三時間さんじかんして、ようやく理事長室りじちょうしつつかった。

 コンコン コンコン

 ノックを二回にかいして、しばらくするとなかからおんなこえがした。

はいってきていいぞ」

失礼しつれいします」

 可愛かわいらしいこえ秘書ひしょひとこえだろうか。

 おれかるとびらけて、かる会釈えしゃくをしてなかはいった。

 理事長りじちょう椅子イスふかこしけて、とびら反対はんたいまどほうていた。

 そして、ゆっくりとこちらにく。

 さっきのこえは、秘書ひしょとかではなく、理事長りじちょうそのもののこえだった。

 しかし、おれうつるそのおんなは、わかく、おれおなじくらいにおもえた。

 そして、沈黙ちんもく数分すうふんつづきようやく、理事長りじちょうは、はなしはじめた。

わたしは、理事長りじちょう代理だいりけん高等部こうとうぶ三年さんねん十文字文姫じゅうもんじあやめ。よろしく」

 やはり、まだ高校生こうこうせいだった。

「さっそく手続てつづきにはいるけど、天使の指輪エンジェルリングせてもらえるかしら?」

 おれわれるがままに、みぎ薬指くすりゆびから、指輪リングはずした。

「あの…ここでおれなにをすれば……」

 編入へんにゅうしたのは、ついこないだのはなしで、ここに理由わけとその目的もくてきかされず、本当ほんとうわれるがままにたのだ。

おれなんおぼえてないんです……おれ出会であったはずの天使エンジェルも、、、」

 そういうと、また沈黙ちんもくつづいた。

 そして、次第しだいれていたはずの、天気てんきに、くろくもがかかりはじめる。

 おれはいきなり急変きゅうへんした天気てんき動揺どうようし、キョロキョロしていると、理事長りじちょう椅子いすからゆっくりとがる。

 そして、なが黒髪くろかみなびかせながら、こちらへ徐々じょじょあゆってくる。

 おれ自分じぶんがなにかしたのかと、かおきづらせながら、あし一歩いっぽずつく。

 理事長りじちょうもおかまいなしにこっちへちかづいてくる。

 ピカッ ゴロゴロゴローン

 かみなりる。

 そして、おれとびらはばまれ、これ以上いじょうがれなくなると、理事長りじちょうあしおれまえで止まる。

 そして、黒髪くろいかみおくから、ひかひとみが、むねさるようなかんじがした。

 理事長りじちょうは、おれあしおもいっきりむ。

「いたたたただだぃぃ〜」

 さらにおかまいなしに、あしをぐりぐりつづけ、こっちをのぞむようにして、にらみつけてくる。

 そして、ようやくはなす。

魔導書グリモアール戒禁かいごんするために、必要ひつようなのは、天使エンジェルとそのマスターたがいのおもいがなくてはならないの。それをおぼえてないで通るか!」

 すごい耳元みみもとがジンジンする。

 一瞬いっしゅんいのちきたかもしれない。

 色々いろいろ理事長りじちょうかなくてはいけないことがえた。

理事長りじちょう質問しつもんいいですか?」

ってごらんなさい」

魔導書グリモアール戒禁かいごん?とかってましたが、その魔導書グリモアールってなんでしょうか」

 純粋じゅんすいなにらないおれくべき事柄ことがらだと思った。

 すると、理事長りじちょうは、こたえてくれた。

魔導書グリモアールは、それぞれマスター契約けいやくした天使エンジェル特有とくゆうのもので、天使エンジェルによって、それは様々さまざま存在そんざいし、それを探求たんきゅうし、天使神ヘブンみとめられたものは、一生いっしょう約束やくそくされるの」

 なんとなくおれがこの学園がくえんにいる意味いみすこしは理解りかいしたがした。



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