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「いらっしゃーい。ってやだ、はなちゃんまだ制服なの?」
「リンが急かすから」
もちろん私服はバックに押し込まれている。帰る時に着替えるか。
「もう、リンったら。早い男は嫌われるわよ?」
「あたしは早くないわよ。試してみる?」
「ごめんなさいね。両性はタイプじゃないの」
「ふぅん、女ならいいわけ?」
「さぁね?」
マッチョと美女がにらみ合う。こんなのでも一応男だから世の中良く分からないな。
「で、今日はなに。急にどうしたわけ」
ここに呼んだ理由って? 今夜は結構混んでいたから疲れているんだけど?
「え」
「え」
「え」
ポカンとした二人の顔に、ついこちらまで同じ表情で返してしまう。え、今日何かあったっけ・・・?
「あ、誕生日か」
「え~~~~!! あっははははは」
「リアクションうっすいっ! ってか自分の誕生日忘れるとか、はなちゃんやっばい!」
「そんなに笑わなくても」
そうか日付が変わったから今日はもう雛祭りか。十時間くらい前までは覚えていたのに。今日は俺の誕生日だ。
「誕生日が雛祭りなんて忘れたくても忘れられないような感じがするのに、すっかり忘れているなんて」
「うっせぇ。この歳にもなったら誕生日なんて忘れちまうんだよ」
「あたしは忘れたことないけどなぁ」
「リンは自分好きすぎだからだろ」
「あたしもないかなぁ」
「ミケは覚えやすいだろ」
「それははなちゃんもでしょ」
「でも忘れちゃったんだよねぇ、おまぬけさんっ」
「うっせっ」
「にゃはははは」
「はいはい、もういいから」
「もういいってなんだよ」
「ほらほら、乾杯しましょっ。はなちゃんの為にリンがドンのペリ持って来てくれたんだから」
ドンのペリ・・・だと!!
「はぁーい、それじゃ乾杯しましょ」
「はなちゃんの誕生を祝してっかんぱぁい!」
「「かんぱーい!!」」
マッチョのオネェと美人の両性に挟まれて、グラスを傾ける。いや別に身体の形なんて関係ないか。ここにいるのは昔馴染みの友達に変わりないのだから!
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