1話 彼女

 仕事の休憩時間、俺は決まってここに来る。


 ごろん、と横になると、清々しい青が城で隠れることもなく広がっていた。


 この美しい空を見ると、いつか彼女にもこんな空を見せたいと思う。


 その彼女とは、いったい、どこの誰なのか。目を閉じて考えると、いつも思い出すのは笑顔でなく女の子の姿だった。見たことのない、でも、懐かしい顔だ。


 幼い頃から、彼女のことを考えては、頭を悩ませる。


 俺の周りに、彼女が何者なのか教えてくれる者はいなかった。


 そのまま、意識が遠くなる感覚に襲われ、そのまま眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る