現代妖怪・リサイクル男

能無し芳一

第1話

深夜の渋谷、辺りは静けさに包まれている。


「ゴミは持って帰る」


という看板。


一人の若者が、その看板のすぐ近くにタバコの吸い殻を放り投げた。


「ゴミ、モッテカエル。」


男の背後から低い声が響いた。


男が振り返ると、そこには2mはあろうかという巨体の…男。


その見た目は化け物じみており、正直性別も、人間であるのかどうかさえもよく分からない。


若者は、その巨体に気圧されてしばらくの間硬直していたが、ふと我に返り、その巨体の発した言葉を思い出した。


「あ…あ、すみません、ちゃんと持って帰らないとダメっすよね、ハハッ…」


「ゴミ、モッテカエル。」


「あ、ハイ、今拾いますから、、」


「オマエ、ニンゲンノゴミ。オレ、オマエ、モッテカエル。」


「エッ」


巨体はその見た目からは想像もつかないほど俊敏な動きで若者を一瞬のうちに捕らえた。


「う、うわッ!!は、離して…!オイ!!離せってば!!!」


若者はジタバタと暴れてみたものの、巨体はそれを全く意に介さない。


「ゴミ、リサイクルスル。コレデオマエモ、ヨノナカノヤクニタツ。ヨロコベ。」





街からはポイ捨てされたゴミが減り、各地の病院には提供者不明の新鮮な臓器が大量に届けられているという。

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現代妖怪・リサイクル男 能無し芳一 @toumeina

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