すれ違い
藍色の鷹
第1話始まり
エピローグ
〈都会の喧騒から離れていく。暖かい日差しが頬をかすめる中、僕はある場所へと向かっていた。ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトンという音がタタタンタタタンという音に変わり鉄橋に差し掛かる。車内は2,3人ぐらいだった。多分鉄道マニアだと思う。車窓から見える景色に目を向けると、いつも僕らが目にしている風景とは違い、のどかな田園風景が広がっていた。こうやって日光を浴びるとやはり眠くなるが、眠気をこらえて窓の景色を見ている。こうやっているとなぜか心細くなってきて周りの世界から完全に分断される。
目が覚める。
「終点ですよー。お客様起きてくださいー。」
と体をゆすぶられた。
「ふぁー」
思わずあくびが出てしまった。座席から立ち上がり改札まで歩いていくが、来た理由を思い出し改札まで走り出す。改札をぬけると夕日が差し込んでいたが、見とれている暇はない。すぐさま目的地へ駆け出していく。目的地に着いた時には、日が暮れていた。〉
1
朝日が顔に当たり、まぶしくて眼をしょぼしょぼさせながら少し開ける。
「ああ、やっと目が覚めた?」
朝日が差し込む部屋の中、横山の声が聞こえる。僕は起き上がり、やはり殺風景だなと部屋を見渡して思う。
「ご飯は?」
「あるよ。」
一見、普通の夫婦やカップルの会話に見えるがそうじゃない。「泊りに来ただけだ。」隣の部屋どうしってこともあって。自分と横山は同じ高校に受かり、引っ越して来た。二人とも、初めてひとりぐらしってこともあって助け合ってる。
香ばしいパンの匂いが漂ってきて、起きたばっかりの口の中を潤してくれた。程よく焦げたそれにバターを塗る。そしてバターが解けないまま食べる。朝食を食べ終え、制服に着替えてから支度をし、通学をする。
じめじめとした路地裏を抜け、大通りに出た瞬間、自転車が向かってきていてぶつかりそうになった。幸い自転車がよけてくれたが、自転車が倒れてしまった。赤ちゃんの泣き声が周囲に鳴り響き、通行人が一斉にこちらを見た。後ろめたさを感じ、その場を離れる。そこで謝ればいいと思ったのは、電車に乗ってからだった。
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