テレポーターの抹殺
えすた
プロローグ
0 覚醒
『赤巻紙青巻紙黄巻紙。この早口言葉を三千回唱えよ。さすれば超能力を授けん』
そう書かれた紙切れを見つけたらどうするか。
言うまでもない。「どうもしない」だ。せいぜい数回口ずさむ程度だろう。まして三千回も繰り返そうとする物好きなどいるはずがない。
だが僕は違った。
その紙切れを信じた。
……いや、信じるしかなかったである。
時は数時間前に
二年目の春。
僕は高校の始業式に出るために、いつもの通学路を歩いていた。
そこは墓地が点在する小さな丘で、人通りも皆無に等しい。片道十分の静寂を味わうことは僕の日課だった。
だからこそ気付くことができた。
カサッと。何かが落ちた音がしたのだ。
引き返して、音の発生源を探す。
道からほんの少し外れた草むらに一枚の紙切れが落ちていた。道からも普通に見える位置だ。もし最初から落ちていたとしたら、僕なら目に入っていたはず。
周囲を見た限りでも、これが落ちたとみて間違いなさそうだった。
紙切れを手に取る。
『赤巻紙青巻紙黄巻紙。この早口言葉を三千回唱えよ。さすれば超能力を授けん』
そう書かれている。パソコンか何かで印刷した字だ。
誰が落としたんだろう。
何のために落としたのだろう。
早口言葉を唱えさせる意味は何だろうか。
僕は聞き耳を立てつつ、周辺をつぶさに観察した。
「……おいおい」
思わず独り言をつぶやく。つぶやかずにはいられなかった。
だって――ありえないじゃないか。
この紙切れをこの場所に落とすことなど、できやしない。そんな高所もなければ仕掛けも見当たらないし、見通しも良くて隠れられる場所もない。人がいたら視覚的にわかるし、死角に逃げるにしても足音が発生するはずだ。そんなの聞こえなかった。
僕の体調がおかしいのだろうか、と考えて、そんなはずはないと思い直す。
僕は毎日健康的に過ごしている。規則正しく食べ、就寝し、起床する。家族に真面目すぎと皮肉られるほどだ。
今日の僕にも異変の自覚は無い。神経質な僕がそう思えるのだから、何事も無いはずなのだ。
ふと昨日読んだ異能バトルもののラノベが頭をよぎった。
もしこれが超常的な現象だったとしたら?
本当に超能力が手に入るとしたら?
……ありえないことではない。そもそも人知がこの世の全てとは限らないのだから。
「僕なんかが人知を語れるはずもないけど」
自分を落ち着かせるためにあえてつぶやく。
「……こんなこと、誰にも話せないな」
話せそうな友達すらいないことはよくわかっているが、そうでもしないと冷静さを保てそうになかった。
僕は紙切れをポケットに入れ、とりあえず学校を目指しながら、思考を独り言で発する作業に徹する。
だが疑念も不安もちっとも晴れてくれない。
「ふう……」
丘はちょうど下り坂に差し掛かるところだ。ここを下れば学校まで十分くらい。今は……七時五十分か。余裕で間に合うな。
僕は葛藤していた。
入学式に出るべきか、それとも三千回唱えるべきか。
……いや、これは葛藤などではない。
正当化だ。
ただ悩んだふりをして、不真面目な自分の罪悪感を和らげようとしているだけ。自己満足でしかない。
心づもりはとっくに決まっている。皆勤賞などどうでも良かった。
僕はこの小丘の地形を頭に思い浮かべる。
見晴らしが良くて、広くて、独り言も平気で発せられるような場所が一カ所だけあったはずだ。
僕は脇道に逸れ、丘の頂上へと向かった――
そして今に至る。
「顔と舌が痛えな……」
この一言を喋るだけでもしんどいのは、少し前までひたすら早口言葉を唱えていたからだ。
何回口にしたかは覚えていないが、三千回は確実に超えている。
当初は二秒で一回口ずさむペース、つまり六千秒で三千回を終えるものと計画していたが、実際は二時間経っても終わらなかった。
今思えば何を以て終わりとするかも不明で、我ながらバカなことをしたものだが――結論を言えば、これで正しかった。
まず
それだけでも非現実的なのに、極めつけは。
「これ……だもんなあ」
僕のお腹から生えている黒い腕。
硬質というよりは
まるで両腕のように動く。動かせる。
先端にはちゃんと手があるし、指も五本あって、サイズまで両手と同一。第三の腕と言っても過言ではない。
しかし両腕とは明らかに異質だった。
「うげっ……」
僕は今、黒い腕で自分の内臓を触っている。
ぐにぐにとした生ぬるい感触が伝わってくる。何度触っても慣れそうにない。
ちなみに内臓へのダメージは無い。黒い手で握り潰してみても何ともない。
どうやらこの腕は、あらゆる物体をすり抜けながらも、感触だけはしっかりと伝えてくるらしい。
「……まあ書いてあるんだがな」
不自然に大きくなった怪奇的用紙をよく見ると、この件の答えが書いてある――
私立美山高校のテレポーター様。
おめでとうございます。
見事三千回唱えられた貴方にはテレポート能力をお贈りします。
どうぞご利用ください。
以降では取扱説明を記述しています。
本書は生成後、本書を撮影した写真等も含めて二十分で消滅しますので、よくよく熟読くださいますようお願い申し上げます。
一、『テレポート』とは能力者――以下『テレポーター』と記述する――の身体あるいはテレポーターが指定した物体を、テレポーターが指定した場所に送る事である。
二、テレポーターには黒色の腕が付与される。これを『テレアーム』と呼ぶ。特に手首より先の部分は『テレハンド』と呼ぶ。なお、自分のテレアームは自分自身にしか見えない。
三、テレポートを行うには二段階のステップを踏む。ステップ1ではテレハンドをテレポート先に定める。ステップ2では左手の親指を内側に強く握り込む。するとテレポートが発動する。
四、テレポートには『自己テレポート』と『物体テレポート』の二種類が存在する。テレポート時、右手が物体を所持していた時はその物体が物体テレポートされ、何も所持していないか、物体テレポートを行えない物体の場合は、テレポーター自身がテレポートされる。
五、テレポートを行うと、「テレポート先に存在する物体」は「テレポートされる物体」で上書きされる――
こんな具合にテレポートのルールらしきものがびっしりと書かれているのだ。
もっとも制限時間は二十分しかないらしいから、さっきまで僕は必死でノートに書き写していたわけだが。
そろそろ二十分が経つ頃――「うおっ!?」手元から突然用紙が消えた。
誰かが抜き取ったわけではなく、本当に一瞬で消えた。消えていた。
「……やべえな」
改めて実感する。
超能力は本物で。
これは人知を超えた現象、文字通りの超常現象なのだ。
「こうしてる場合じゃない」
僕はルールを写したノートを見やすいように置き直し、スマホを取り出す。
ルールはスマホで、というよりデジタルデータで管理するつもりだ。というより、ノートをこのまま残しておくのが危険すぎる。
このノートはただの学習ノートであって、名前が書くと死ぬノートのような特別な効力、たとえば触れたら死神は見えるようなことは一切無いが、書かれている内容があまりに危険である。
無論知らない人が読んだところでただの妄想でしかないのだが、もし仮に、他のテレポーターがこれを読んだとしたら――僕がテレポーターだとばれてしまう。それだけは避けなければ。
スマホを両手で持ち、フリック入力で機械的に書き写しながらも、僕の頭は全力で回転していた。
自分の生死が絡むとこうも活発になるらしい。火事場の馬鹿力……と言うとちょっと違うか。いや言葉の定義はどうでもよくて。
そう、生死だ。
テレポーターとなってしまった僕は今、生死の問題に直面していると言っていい。
まず説明書の宛名には『私立美山高校のテレポーター様』と書かれていた。
ここから察するに、今回の紙切れは美山高校の関係者にのみ配布されている可能性が高い。その中に三千回唱えた、あるいはこれから唱える物好きが何人いるかは知らないが、全くいないと決め付けるのは安易だろう。
もしテレポーターが自分以外にも存在すると知った時、そいつはどうするか。
僕が真っ先に思い浮かんだのは、ただ一つ。
――抹殺する。
こんな世の
研究機関の
権力者から
あるいは脅威として消されるかもしれない。
僕一人が気を付けるだけでは不十分だ。他にもテレポーターが存在する以上、それらリスクはいつだって存在する。
だから、消すしかない。
テレポートの関係者を自分一人にのみ局所化すること。
それこそがリスクを最小化できる唯一の解だ。
「勘弁してほしいよな、まったく」
テレポートをこの世に落とした連中は、どうも美山高校という舞台を見世物にしたいらしい。
なぜ美山高校なのかはわからない。わかるはずもない。人類に超常的な存在など観測できるはずもないのだから。
しかし連中が僕たちを観察して楽しむことはあながちありえなくもない。
観察は至上の娯楽だという言葉を聞いたことがある。
確かに人間も、文明や頭脳では遠く及ばない動物や虫、微生物を観察して楽しんでいる。なら、人間が遠く及ばない存在が人間を観て、楽しんでいてもおかしくはない。
僕はただ平穏に生きたいだけなのに。
ラノベを読むだけの生活をずっと続けていたいだけなんだ。
けれど、現実問題そうはいかないから適度に勉強して、ちゃんと食べて、睡眠して、とバランス良く過ごしている。
生活を成立させる最低限の手段を最小限の労力で獲得し、あとはラノベライフに溺れる――それこそが僕の目指すべき道。
今までも、これからも、ずっとそこを目指す。
なのに今日、唐突に一枚の紙切れを発見してしまい、気付けばテレポーターである。
突拍子過ぎて笑うしかない。いや、全然笑えない。
なんたって黒き第三の腕――テレアームが確かに存在しているのだから。
認めるしかない。
これは現実だ。
「さて……」
何とか写し終えたが、まだ休むには早い。
ノートの処分もそうだが、やることは山積みだ。
特に優先すべきなのは……能力の検証か。
周囲を見下ろす。
ここは丘の最高点となっており、片側は緩やかな斜面、反対側は崖となっている。道から外れているために人が来ることは滅多に無い。というか、たまに利用する僕でも一度も見たことがない。
ここでなら試せるか……?
リュックから筆箱入れを取り出し、その中の鉛筆を右手でつまむ。
それからテレアームを伸ばし、目の前に転がっている石を指してみる。
あとは左手の親指を内側に握り込めば、テレポートが発動するんだったな。この場合は僕自身ではなく物体が対象になるはずだ。
しかし――左手が動かない。
震えている。
止まってくれない。
生唾を飲み込む。一回、二回……。
緊張しているのか。
違う。緊張というよりは……怖いのか。
気になる疑問が一つあった。
テレポート先に物体があった場合、テレポートした物体や身体はどうなる?
おそらくどちらかが当たり負けする。どちらが負けるかで、答えは二通りに分かれるはずだ。
一つ、テレポート先の物体が負けて消滅するパターン。
一つ、テレポートした物体や身体が負けるパターン。
厄介なのは後者で、もし自分をテレポートさせた場合、自分が死ぬことになる。そうでなくとも身体の一部が欠けてしまう。
もし後者だったら?
たった一回のテレポートにしくじっただけでも死んでしまうことにならないか?
もっとも今は自己テレポートではなく、この鉛筆を物体テレポートさせるつもりだが、何かのミスで自己テレポートが発動してしまう可能性だってある。
そもそもテレポート先の物体とは何だ?
空気は含まれるのか?
水は?
空気中の粒子は?
最悪の可能性ばかりが頭をよぎる。
もういっそのことテレポートなんて使わなくてもいいんじゃないか。
……ダメだな。他にもテレポーターが存在する可能性がある以上、万一に備えて、使いこなせるようになっておくべきだ。
とりあえずもう一度ルールを熟読して――
「……あ」
僕は何をやっているんだ。
「前者だったな」
正解はルールに書かれていた。
――テレポート先に存在する物体は、テレポートされる物体で上書きされる。
そうだよ、テレポートした物体や身体が当たり負けすることはありえないんだ。そういう仕様になっているのだから。
僕は要らぬ心配で疲弊したというわけか……くそっ、こんなことも見落とすとは。
今日の僕はどうかしている。まあどうかしているのはある意味事実なのだが、ともかく冷静になるべきだ。
深呼吸をして、ルールを読んで、また深呼吸して、と何回か繰り返してみた。
効用なんて迷信だと思っていたが、これは凄い……自分でもわかるくらいに平静になれた。
落ち着いたところで、さっきの検証に再度挑む。
今度は気兼ねなく親指を握ることができた。
握った瞬間――右手から鉛筆の感触が消えた。
同時に、コツッと何が落ちた。
見ると、鉛筆だった。
ちょうど石の真上にテレポートしたようだ。
「――どういうこと、だ?」
僕はテレアームを石に突き刺していた。てっきり鉛筆も突き刺さるようにテレポートされると思っていたのだが……細かい座標までは決められないのだろうか。
それとも決めることは可能だが、特別な狙い方が必要なのか?
僕はこまめに周囲を見て、誰もいないことを確認しつつ、実験を続ける。
まずは鉛筆を思い通りの位置と角度でテレポートさせたい。
具体的に言えば、石に鉛筆が綺麗に刺さった状態にしたい。
そのためには鉛筆が刺さるような位置をテレアームで定めなくてはならない。いや、テレハンドと言うべきか。
テレハンドでどのように石を指差せばいいのだろう。人差し指で石を突けばいいのか、ハンド全体で握ってみればいいのか、それとも他のやり方があるのか。
しばらく実験を繰り返す。
いきなり石を狙うのはやめることにした。鉛筆が取り出せない角度でめりこんでしまう可能性があるためだ。
そうなると鉛筆を回収しづらくなる。不自然にめり込んだ鉛筆をもしテレポーターに見られでもしたら、存在を悟られてしまう。出来る限り形跡は残さない方が良い。
じゃあどうするのかと思案して、虚空にテレポートすることにした。
テレハンドを何もない空間に構え、目視しながら鉛筆をテレポート。するといきなり鉛筆が出現し、地面に落下する。
ここで注目すべきポイントは二つ――出現した瞬間の位置と角度だ。
パラメーターが二つあると言ってもいい。
鉛筆を握っている手と、空間に構えているテレハンド。
鉛筆をどのように持ち、テレハンドをどのように構えると、鉛筆がどんな位置と角度でテレポートされるのか――もちろんテレハンドのそばにテレポートされるのだが、僕が知りたいのはもっと細かい位置と角度だ。
針の穴も通す、はさすがに言い過ぎだが、出来るだけ正確にテレポートさせたいのだ。
実験を繰り返すこと数十回。
僕は狙い通りに鉛筆をテレポートできるようになっていた。
今の僕なら鉛筆を人の腕に貫通させることもできるし、先端を目に突き刺すこともできる。その程度の正確性は身に付けたつもりだ。
位置と角度が決まる仕組みは単純だった。
テレポートを実行した時、つまり左手親指を握った時の、右手の状態――それがそのままテレハンド上で再現され、そこに、右手で物体を掴んでいるのと全く同じ位置と角度で物体がテレポートされる。
といってもテレハンドの形状が実際に変わるわけではない。
たとえば右手が鉛筆を握っていて、テレハンドをグーチョキパーのパーのように広げていても、テレポート時にテレハンドが鉛筆を握る形状に変化するわけではない。ただ鉛筆を握る形状になったと仮定して、そのテレハンドに鉛筆が送信される、ということだ。
……まあ説明書の説明通りなのだが、とにかくややこしい。実際を手を動かさなければ、理解が深まることはなかっただろう。
「はぁ、だるいな……」
超能力とはこんなにも面倒な代物なのか。
フィクションでは自分の意識だけで思い通りに制御できるというのに。
何と言えばいいのか、このテレポート能力は徹底的に手続き化されている。
機械のように、あるいはスポーツのように、やり方や使い方を一から辿らなければならない。
まだ鉛筆をテレポートさせただけだぞ? 他にも確認すべき点は山ほどあるというのに……。
テレポート可能な物体の最大サイズは?
最小サイズは?
重さは?
テレアームはどこまで伸ばせる?
テレポートを繰り返すとヒットポイントみたいなものが消費したりする? まさか寿命を削ってるなんてことはないよな?
もしテレポート不可能な物体をつまんでいた場合、テレポートはキャンセルされる? それとも自分自身が転送される?
そもそも自己テレポート――説明書では自身のテレポートをそう呼んでいた――は全く試していないが、体調を崩したりしないだろうな?
正直一日や二日で把握しきれるとは思えない。
学校をサボって取り組むこともできなくはないし、僕もそうしたいところだが……そうも言っていられない。
なぜなら学校にはテレポーターがいるかもしれないからだ。
あるいは、これから誕生する。何人いるのかはわからないが、いるかもしれないことだけは確かである。
もしバカがテレポーターになったとしたら、テレポートの存在が世間に知れ渡ってしまうだろう。
もし僕みたいな奴がテレポーターになったとしたら、他のテレポーターを探して排除しようとするだろう。当然僕もその対象になる。
あるいは、もっと好戦的な奴が好き勝手に暴れるかもしれない。
テレポートなら虐殺も簡単に行える。何たって人の体内に、たとえば心臓部分にでも物体をテレポートさせればいいのだから。それだけで心臓は破壊され、確実に絶命する。
「バトルものにするわけにはいかない」
僕は後片付けをして、丘を下りながら直近の行動を考える。
とりあえず最優先事項は確定していた。
――テレポートの存在を誰にも悟られないこと。
――僕以外のテレポーターを全員殺すこと。
この二つだ。
この二つさえ完遂できれば、僕の平穏は守られる。
前者は僕が気を付ければいいし、おそらく一生必要なことだからやるしかない。
問題は後者だ。
取り返しが付かなくなる前に先手を打たねば。
どうやってテレポーターを探す?
そもそもテレポーターは何人いる? 何人出現しうる?
見つけたとして、どうやって殺すんだ? 心臓に鉛筆を転送させる? それで本当に問題無いのか? もし司法解剖されたら? 中から鉛筆が出てきたらどう解釈される? それこそ超能力の存在に繋がるのではないか?
「……にしても、これは気持ち悪い」
丘を下り、学校へと通じる大通りに合流する。
僕の置かれた現状も整理できてきたことだし、ほっと一息付けるかというとそうでもなく。
僕には今も、というよりさっきからずっとテレハンドの感触が伝わっている。
何もしない腕は重力に従って垂れるが、テレアームの場合はそうはいかないらしく、お腹の辺りに収納されるらしい。
つまりはお腹の、もっというと腹筋の感触が常に伝わっているわけで。しかも呼吸と連動して微妙に動いている。
動物の体に常に触れているような感じだろうか。落ち着かない。
「慣れるしかないか」
腕時計を見る。間もなく昼休憩、いや今日に限って言えば放課後に入ろうという時間だ。
始業式、クラス発表、新クラスでのオリエンテーション――僕は全部サボったことになる。初っぱなからやらかした問題児というわけだ。
いや、元々クラスメイトの女子にも名前を覚えられていないような存在だし、気にする必要はないか。だが少なくとも担任への言い訳は必要だろう。あと、あいつにも……。
僕はコンビニでマスクを買い、書店でラノベの新刊を買ってから学校に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます