ねことぼくと僕と猫と
ささら
第1話 ハルのきもち
さっきぼくがハルに言ったんだ。
「人間は生まれ変わっても、人間にしかなれないんだってさ。猫も、生まれ変わっても猫にしかなれないんだって。だから僕は生まれ変わっても僕だし、ハルも生まれ変わってもハルなんだね」
にんげんっていうのは多分、ぼくのことで、ねこっていうのはハルのことだよね。
ハルは、ぼくのことが大好きなんだ。
ぼくはね、いつもハルに美味しいご飯をくれるんだよ。ハルを膝の上に乗せて喉や耳の後ろを撫でてくれたりするんだ。
それにぼくはね、毎日ハルに好きだよって言ってくれるんだ。ぼくが寝る前や、ハルが起きたときに、言ってくれるんだ。
だからいつも、ハルもぼくが好きだよって伝えたくて、声を出すんだけどね、ぼくには伝わらないんだ。きっとぼくがにんげんってやつで、ハルがねこってやつだから。
だからハルは生まれ変わったら、ぼくと同じにんげんってやつになって、好きだよって伝えようって、思ってたのに。
ハルはにんげんになれないんだって。
きっと、ぼくが言ってたからホントなんだ。
ハルもぼくがハルにしてくれるみたいに、ご飯をあげたり撫でてあげたりしてみたかった。好きだよって言いたかった。ハルは生まれ変わっても、できないんだね。
じゃあせめて、ハルは生まれ変わってもぼくの傍にいるよ。生まれ変わっても、泣いてるぼくの顔を舐めにいくし、寒がりなぼくの布団で一緒に寝てあげる。
そしたらきっと、ハルがぼくのこと好きだって、ぼくに伝わるよね。
ぼく、大好きだよ。
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