デスゲーム
オトカ
Episode0 退屈な世界
カタカタカタカタカタカタカタ…
意味もなくひたすらキーボードのAのキーを叩く。ふと画面を見ると気持ち悪いほどの「あ」が羅列していた。見ているうちにゲシュタルト崩壊のように「あ」の形が頭の中でどんどん崩れていく。よりいっそうイライラが増してバックスペースを長押しした。するとカタカタとすごいスピードで文字が消えていく。7文字/秒ぐらいだろうか。なんて、考えるのもめんどくさい。
「暇だ…」
そう一人つぶやく。最近は人生がつまらなすぎる。約3週間やり込んだゲームをコンプリートしてしまったのだ。全クリするのには1週間もいらなかった。1週間で全クリ、3週間でコンプリートという結果には我ながら誇りと自信と満足感でいっぱいだった。
しかし、ゲームがすべて終わり、エンディングロールが流れた時にこのゲームが終わってしまう悲しみや感動、新たな展開や衝撃の最終章への驚きなどは全くなかった。このゲームは世界的に大人気で有名なゲームだ。たくさんの人に評価され支持されている。しかし、俺はこのゲームを特に評価したいとは思わない。人気があるのもなんとなく分かるがそこまで支持される理由は特にわからない。これは個人的な意見だがこのゲームには刺激があまりなかった。型にハマりすぎてるというかなんというか、典型的な…ゲームだった。別に面白くなかったわけでもないし、ハマってやり込んだのも事実だ。典型的なゲームと言ったが事実これはゲームなのだ。自分でも何言ってんのか正直分からないし、言いすぎるとファンからの批判がヤバいのでこれくらいにしておこう。
ただ、もっと刺激のあるゲームを俺は心のどこかで求めている気がする…。いや、ゲームだけじゃない俺は人生において大きな刺激を求めている気がする。そんなもの一生あらわれる気がしないが…ならいっそのことそんなゲームを、刺激を、自分の手でつくってしまおう。そんなことを考えるがつくるのもめんどくさい。今の俺の人生はめんどくさいの上で成り立っている気がする。こんなつまらない人生抜け出したいが抜け出す方法もわからない。
ただ俺はどうにかこの暇な地獄から抜け出したいのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます