第9-6話 竜族の少女と魔族の村の村長 その2

ルシュと村長のやりとりの意味が一瞬理解出来なかったが、すぐに察する事が出来た


「村長、まさか竜族の言葉を喋られるんですか?」


ロバートじいさんが俺の方を見る、驚いた表情に見えた

そして村長に向きなおし話す


「驚いたのう、メラニーにそんな特技があるとは…」


「ここで役に立つとは思わなかったわ」


村長は俺とロバートじいさんに目配せして微笑んだ


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村長も木陰に入り、四人で話をする


俺は先ほど言いかけた軽率にルシュに接触した事を村長に詫びた

結果としてルシュがとても友好的だったから良かったものの、

そうでなければ村人全員を危険に晒していたものだ

ただ、こうして詫びているのはこれは単なる自己満足でしかないが…


等と考えていた俺をよそに村長は


「結果的に今こうしてお話出来ているのだから、良いのよ。

ありがとう、ヨウヘイ」

とあっさりとお許しを頂いた



ルシュはまだ少し村長に対して緊張気味だったが、村長はルシュに対して特に畏れは持ってなさそうだった


「村長はどうして竜族の言葉を話せるんですか?」


村長に率直な質問を投げかける

竜族は魔族や人族と交流があったとはテオック達からも聞いていない



村長は俺の言葉に少しだけ間を置き


「昔、色々あってね」

と返事し、次は竜族の言葉でルシュにも話し掛ける



どうやら経緯を話す気はなさそうだと感じた



「…そう言えば共同倉庫の事だけど」

村長がルシュに話し掛ける



ルシュは少し表情を強張らせる

屋根を壊してしまった事に負い目を感じている様だ


「ごめんなさい、怒ってはいないの。

今はあそこで寝泊りしているのでしょ?」

ルシュの表情に反して村長は優しい言葉で話し掛ける



「もし良ければこれから私の家で寝泊りしてはどうかしら?

お客様用のベッドがあるから大丈夫よ」


全く想定していなかった村長の言葉にルシュが固まる

少しルシュは俯いてから村長に向きなおし


「うん、ありがとう」


村長の言葉に絆されたのかルシュは柔らかい表情で答えた

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