第2話 アステノ

村に着くと、俺の姿に気付いた村人達が群がってくる


初めて見る異種族に興味津々と言った様子で、質問攻めにあい、

まるで見世物になった気分だった


暫くしてからテオックが助け舟を出してくれたが、

それまで面白そうに眺めていたように見えたのは気のせいではないだろう


--------------

村は森に囲まれた小さな集落となっていて

小川によって三つに分割された土地になっていた


テオックの家は村の中央からやや西に寄った場所にあり、隣には小さな小屋が併設されていた

家まで着いていくと、テオックは俺を中に招き入れた



テオックの家は最低限の調度品だけが置かれていて、

漫画やゲームで見る中世の家として見てもかなり質素なものだった

最低限の生活ができればそれで良い、と言う性質なのかも知れない



集まってきた村人がやたら沢山食料をくれたので、

それを使って夕食を作ることにした


見た事の無い灰色の木の実、紫の草、キャベツのような野菜を鍋に入れ煮込む

素材そのものの香りがあるのか、意外にも美味そうな匂いが部屋に充満していく


テオックが鍋から器にスープをよそってくれる頃には外はすっかり闇に包まれていた



「美味い…!美味すぎる…!」


「口にあったようだな、そりゃ良かったよ」


数時間歩き通してから、村に着いたら質問攻めですっかりクタクタになっていた俺には

この未知のスープの味は格別だった



「さて、やっとゆっくり出来たところで、何から話そうか」

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