文スタダイアリー

@atumarunakamatati5

第1話「ルームシェア」

第一話「ルームシェア」


 新生活の季節、春。

 私たち五人は、いたって普通の一軒家でルームシェアをすることになった。

『文スタの活動を円滑にしたいなら、みんなで一緒に住むのはどう?』

 すべては竜美のそんな一言からだった。

 いつも竜美は私たちの考えもしないことを言う。

 私がリーダーになったのもすべては竜美のせいだ。

 まだ家具がほとんど置かれてないリビングに、五人は集まった。

「ほんと、なんで私がリーダーなの………」

 今でもふとそんな文句が出てしまう。

 それぞれ部屋を見まわしたり、ぼんやりしていたりだから、聞かれてはいないだろう。

「ごめんね。僕がやればよかったんだろうけど、平音のほうが纏められそうだって思ったんだ。駄目だったかな?」

 尋人だけは違った。まじめで人の話をよく聞く彼だけは私の嘆きを聞いていた。

 本当、尋人がリーダーをやればいいのに。なぜか彼は私に無理に押し付けていた。

 しかし、申し訳なさそうに言う尋人を見ると、そんな文句も消えてしまう。

「ん、別に良いよ。やるからにはちゃんとやるしね。尋人は私をサポートしてくれると嬉しいかな」

 正直このメンバーの中に尋人以外まともな人がいない気がする。

 男子だし、これほど頼れる人はそういない。

「お?なになに、平ちゃんが告白~?」

 話していると竜美が冷やかしてきた。

 それを聞いてさっきの言葉を反芻する。

 うわ、プロポーズみたいじゃないか………

「まぁ、二人はなんかここの両親みたいな感じだしね~」

 何も言い返せない私に竜美は続ける。

 そんなわけないと意見を求めるが、杏はポツンと置いてあるソファに寝てしまっているし、陽太は家の中を散策していた。

「はぁ………まぁ、いいか………」

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