第36話 オリジン探し

「それにしても、ロイは何が言いたかったんだろうな。」


教室でロイと分かれ、アスカはスティアのノキアに向かって話しかける。


「なぁ、ノキアはどう思う?」


【知るか。話さないということは、今はその時ではないということだろう。】


そんなもんかなぁ。まぁいいか。


「それよりも、いったい何の用だろうね。リクさん。」


俺は今『マスカル』の事務所に向かって歩いている。理由は昼にリクさんからのメールで呼び出されたからだ。


「直接会って話したいってことだったけど…」


【それも行けばわかるだろう。】


…前から思ってたけど、ノキアって結構行き当たりばったりだよな。


「っと、着いた着いた。」


そうこう言っている内に、俺は事務所に着いた。でもまぁノキアの言う通りだな。行けばわかるか。


「失礼しまーす。」


「おっ来たな。」


「こんにちはー」


事務所にはリクさんしかいなかった。


「ミッコさんとカズマさんは?」


「あの2人はオリジンを探しに行ってるよ。アスカにも2人の手伝いをしてもらいたいかな。」


「あーそれで俺を呼んだんっすね。」


あの2人のオリジンのスキルは『必中ひっちゅう』と『千里眼せんりがん』だったな。そこにノキアの『第六感だいろっかん』があれば遠い場所からでもオリジンを見つけられるってことか。


「手伝うのはいいんすけど、ノキアのスキルはスティアを起動してないと分かんないっすよ?」


「わかってる。2人は今ゼクトのある場所を調べてもらってる。そこにアスカも行ってほしいんだ。ゼクトのある場所ならスティアを起動している人も多いからな。」


なるほど。そこを狙えばいいのか。


「了解っす。そんで詳しい場所はどこっすか?」


「ああ、そこまでは僕も一緒にいくよ。」


リクさんはそう言って椅子から立ち上がった。


【『本能ほんのう』だったか?そのスキルを使えば私は必要なかったのでは?】


あっ、そう言えばスティアの電源を落とすの忘れてた!


【ん?あたし?】


ノキアの言葉に反応したのは煉鬼れんきだった。どうやらリクさんもスティアの電源は入っていたらしい。


【そうだ。お前のスキルもオリジンの場所がわかるのだろう?ならば私など必要ないのではないか?】


「いままでは僕がオリジンの居場所を探ってたんだけどね。せっかく煉鬼の上位互換のスキルがあるなら、使うべきだろう?」


【そうそう。リク良いこといった。】


【…】


…沈黙が重い。


「仲間が増えたことだし、僕も別のやりたいことがあるからね。仲間になりそうな人や敵になりそうな人を見つけてほしい。」


【…まぁいいだろう。】


相変わらずちょっとしたことで揉めるなぁ。


「さ。2人のところに行こうか。」


リクさんのそんな言葉とともに、俺はリクさんと一緒に事務所を出た。


しばらくして…


コンコン


ノックの音がマスカルの事務所に響いた。ノックをしたのはアスカの友達のロイだった。


「…いないのか?」


【そうみたいだな。どうする?】


「んー。いないなら仕方ない。ここは諦めよう。」


そうしてロイは別のチームの事務所に向かっていった。

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