第26話 チーム

リクはシグナルを歩きつづけ、少し古びたビルを前にしてこちらを振り返った。


「着いたよ。ここが僕達のアジトさ。」


へぇー、アジトなんてあるんだ。リクは俺たちをビルの中に招き入れた。


「みんな!新しい仲間を紹介するよ!」


「ん?リク?どしたの?」


「…何者だ?」


リクの声に振り向いた2人の男女。1人は茶髪のボブカットな少女。身長は俺よりだいぶ低い。150センチくらいか?もしかしたらあの娘俺より年下じゃね?んでもう1人は黒髪に黒い服に黒い靴と前進真っ黒な男だ。身長は俺と同じくらいかな?


「ほら。自己紹介。」


俺はリクに腕でせっつかれる。そ、そうか。自己紹介か。ちょっと緊張するな。


「えっと。俺じゃアスカ。よ、よろしく。」


やべっ!噛んじゃった!


「ふふっ。俺じゃって。くふふ。」


あっ。うつむいてふるふる震えてる。多分ツボに入ったんだろう。


「…使い魔の名は?」


え?なんて?使い魔?


「あー、アスカ。オリジンの名前を聞いてるんだよ。」


オリジンのこと使い魔って呼んでるのか。


「えっと、俺が紹介するより本人に言ってもらったほうがいいかな。ほら。」


俺はスティアの電源を入れてみんなに見せる。あの娘まだうつむいてるけど大丈夫かな。


【…私の名はノキアだ。】


…いやもうちょっと言うことないのかよ。


「さて。次はこっちの番だね。改めまして、リクだ。オリジンは煉鬼れんき。」


リクもスティアの電源を入れたが、煉鬼れんきは後ろをむいて横になっている。それを見てリクはため息を吐いた。


「ごめんね。起きてるはずだと思うんだけど…」


リクは申し訳なさそうな顔をして謝っている。まぁ別に気にしてないからいいけど。


「ふふっ。じゃあ次は私だね。ふふ。」


どうやらツボから回復してきたらしく、うつむいてた娘が話はじめた。それでもまだこらえてるように見えるけど…


「私はミッコ。オリジンはバルメラ。」


【よろしく頼むぜ。】


ミッコはスティアを俺たちにみせ、バルメラと呼ばれたオリジンの男はカウボーイみたいなハットを持ち上げて挨拶をした。腰には2本の拳銃をつけている。


「ちなみに私の年齢はリクの1つ下。」


えっ!?ウソだろ!?リクが21って言ってたから、この娘20歳はたち!?あの身長で!?


「あはは。驚いた?このこと言うとみんなびっくりするんだよね。」


この娘。いや、彼女は腹を抱えてけらけら笑っている。


「さて最後はカズマの番かな?」


あの真っ黒い服の男か。


「違うな。我が名はカズマという名ではない。」


え?違うの?じゃあカズマって誰?


「聞け!我が名は狂魔きょうま!狂った魔王と書き、狂魔きょうまだ!」


………


「あー、彼はカズマ。年齢は17歳。オリジンはネヴュラって名前の魔術師。」


!魔術師だ。」


…もしかしてこいつ、中二病?いや絶対そうだろ。リクはまたため息吐いてるし、ミッコはまたお腹抱えて笑ってるし…大丈夫か?このチーム…というかこいつ俺と同じ年齢かよ。


「まぁ、なんだ。そういうわけで、これからよろしくアスカ。ようこそマスカルへ!」


マスカル?このチームの名前かな?まぁでも、とりあえずメンバーはわかった。これからうまくいけるだろうか?そんな不安を胸に、俺はこのチームに加入した。ノキアは同盟だと言い張ってるけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る