佐竹参考人に対する意見聴取‐五

(吉田委員)

 ありがとうございます。

 それでは質問を続けます。参考人はたった今、現内閣が示した原発再稼働方針を手厳しく批判されました。その中で、「摩耗」のような脅威については予見可能性がないとおっしゃったわけですけれども、私は前内閣において、参考人が「摩耗」の活動停止後、「摩耗」が再出現性のない生物であるとの談話を発表されるのとほとんど同時期に、全国の電力各社に原発の稼働停止を要請されたことに違和感を感じていたわけであります。

 もう単刀直入に申し上げますけれども、参考人は「摩耗」が再出現することに相当神経を尖らせていたのではないか、実は今もそう考えているのではないか、だからこそ全国原発の稼働停止を要請したのではないか、そう捉えております。その点いかがでしょう。


(佐竹参考人)

 重ねて申し上げますけれども、「摩耗」の再出現性を否定した談話につきましては、これは通常人なら当然にそのように判断するであろうという認識を示したものであり、原発の稼働停止要請につきましては、これこそ国民の希求する政策であるとの信念に基づきおこなったもので、両者の間に取り立てて関連性があるわけではございません。


(吉田委員)

 先ほど、乾委員から米田参考人に質問がございました。たとえば、今このタイミングで「摩耗」が再出現した場合、自衛隊が現有する装備で「摩耗」を撃破可能かどうか、という質問です。米田参考人はそれは非常に厳しいであろうと回答されました。非常に客観的な見方だろうと思います。

 もしそういった、「摩耗」の再出現という事態に見舞われた場合、我が国のどこに上陸するかによっても変わってくるかとは思いますが、その場所によりましては、我が国固有の領土内に外国軍隊の進駐を許したり、国土の全部を放棄しなければならなくなるような重大な結果をもたらしかねません。

 そこで参考人に質問します。参考人は在職中に「摩耗」の再出現性を否定する談話を発表されましたが、そういった過去の政治的な発言や決定はこの際傍らに置いて、もし今このタイミングで「摩耗」が再出現した場合、我が国はどのようになってしまうとお考えでしょうか。

 先ほど米田参考人は過去に属していた組織のしがらみを越えて虚心坦懐に意見を陳べられましたので、参考人におかれましてもその点に留意してご意見いただきたいと思います。

 参考人どうぞ。


(佐竹参考人)

 委員のご質問にもございましたように、どこに上陸するかによってリスクの評価は変わってくると思います。想定する上陸地点を具体的にお示しいただければ幸いです。


(吉田委員)

 それでは、巨大な円形状の陰影が海底調査で発見された敦賀沖、上陸地点は福井県と想定してお答え下さい。

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