岡本三郎君の質疑-二

(岡本委員)

 私は総理に質問したんです。どうして総理、お答えいただけないんでしょうか。これだけの大惨事が発生したにもかかわらず、今の経産大臣答弁と同程度の見識しか持ちあわせてないんですか。それ、なんにも考えてないのと同じですよ。あなたの考えを聞いてるんです。本国会を復興の端緒と位置づけているという総理のお言葉が、国民に対する空手形だということがよく分かりました。まあそれはいいでしょう。

 ただ今の清水経済産業大臣の答弁にはいくつかの誤りがありますのでこの際指摘しておきます。 経産大臣は東日本大震災と本件核惨事をそれぞれ一件、合計二件として過酷事故発生確率を試算されているようです。

 まず誤りの一点目。

 二〇一一年十月二十五日原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会におきまして、福島第一原子力発電所事故の発生件数を一件として計上するか、三基の原子炉が過酷事故を起こしたので三件として計上するかで試算が割れました。前者の試算に依れば過酷事故の発生確率は一五〇〇年に一回、後者の試算に依れば五〇〇年に一回となります。この五〇〇年に一回という数字を、更に当時停止中だった全国原子炉五〇基を再稼働させたとして、五〇で割った場合の事故発生確率を同小委員会で試算しております。五〇〇年を五〇基で割るので小学生でもこたえることが出来ます。十年に一基ですよ。今、経産大臣が一五〇〇炉年を二件の事故で割って、と答弁されたとき、椅子でずっこけそうになりましたよ。そんな試算、今まで聞いたことがありません。

 今振り返りますと、この二〇一一年の小委員会で算出された最も厳しい試算どおり十年に一基という確率で過酷事故が発生したわけです。いや、本件核惨事では五つの原子炉で過酷事故が発生したので、それ以上といっていいでしょう。では一五〇〇炉年を福島第一原子力発電所事故と本件核惨事における計八件の過酷事故で割りましょう。事故発生確率は一八八年に一度となります。再稼働を目指す原子力発電所については依然具体名はあきらかにされておりませんので、仮にこれを五〇基の半分、二十五基とした場合、どうなると思いますか。

 八年に一回の割合で過酷事故が発生することになるんですよ。八年に一回。

 これね、とんでもない数字ですよ。しかもこれ、八年後に過酷事故が起こる、という試算ではありません。明日発生してもおかしくない、という数字です。確率ですから。

 この確率どおりに今後も過酷事故が発生すれば、物凄い勢いで我が国の領土が喪失していくわけです。まだそんなことするんですか。そんな綱渡りみたいな状態で、そうまでして電気が欲しいんでしょうか。もうやめにしませんか。

 誤りの第二。

 福島第一原子力発電所事故の原因を、千年に一度の巨大津波に帰している点。

 福島第一原発における全交流電源喪失につきましては、政府及び東電は、巨大津波が非常用バッテリーを水没させてしまったために冷却機能を喪失して発生したものと一貫して主張してきました。しかしながら一方で、巨大津波襲来前、地震の揺れによって既に幾つかの細管が破断しており、冷却機能が喪われていたのではないかという根強い指摘があります。経産大臣のご答弁は、依然議論がある中で、福島第一原発における過酷事故の原因を津波の一事に帰している点で誤りであります。

 私が言いたいのは、所謂安全神話というものはこの福島第一原発事故の後もしぶとく生き残り続け、全国原発の再稼働の原因になった、延いては本件核惨事の原因となったんじゃないですか、ということです。

 既に福島第一原発の事故発生当初から、再稼働の流れを作り出すための布石が打たれていたわけですよ。実際には福島第一原発の細管は地震で破壊されていた。炉心溶融は時間の問題だった。津波が来ようが来まいが。

 しかし地震国である我が国の原子力発電所が地震で破壊されたとなれば、原子力推進側からしたら如何にも都合が悪い。今後如何なる立地地域においても稼働が不可能になるからです。したがって地震では電源は喪失しなかったけれども、想定外の巨大津波によって炉心溶融に至ったと強弁した。再稼働するにしても、補償を免れるにしてもそっちの方がいろいろと都合が良いですからなあ。なので、そう主張したわけです。違いますか。

 東日本大震災の折、震度六弱以上の地震に見舞われた地域に立地する原子力発電所のうち、設備の修理に一年以上の期間を要する破壊が生じた、所謂大事故に至った原発が、同地域内で何%だったかご存知ですか。総理、お答え下さい。

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