代表質問‐二

 また、総理は復興庁の試算を根拠にして、本年度中に復興住宅が充足されると明言されました。しかし、避難生活の実態は、その約半数が西日本地域に居住する親戚縁者の家に一時的に身を寄せているという別の試算もあります。(「誰の試算だよ」と呼ぶ者あり)

 心ならずも他の世帯に奇遇しているこれらの人々が、真に生活を再建するためには、やはり復興住宅への入居は欠かせません。総理の演説は、まるで入居待機者が統計上はゼロになる来年度から復興住宅の新規建設を凍結する、という結論ありきの暴論に聞こえます。総理は一度でも、被災者避難民の声に真摯に耳を傾けたことはおありでしょうか。官僚に主導され、あらかじめお膳立てされた仮設住宅訪問に、一体何の意味がおるというのでしょうか。疑問に思わざるを得ません。

 我が党は、避難者の生活支援を推進するため、政府に対し更なる復興住宅の整備継続を求めます。総理に対しましては、来年度以降の復興住宅の新規建設及び親戚縁者宅に心ならずも身を寄せている避難者の今後の復興支援策について質問致します。


 汚染水問題は、その及ぼしている国際的影響を鑑みますと、総理のみならず一日本人として、私も心を痛めております。

 聞くところによると、環太平洋地域の多くの漁場で、本件核惨事に由来する放射性物質が検出され、漁獲高やその取引に悪影響を及ぼし続けているそうであります。それがために、多数の関係諸国家に大変な迷惑を及ぼし、我が国に対する国際的視線は日々厳しさを増しているという点につきましては、私どもと総理との認識は一致を見ております。総理は、汚染水対策について本年度中にロードマップを示すと説明されました。実に頼もしく勇ましいことで、早期の実現を願うものではありますが、昨日の演説からは実現のための具体策がまるで見えて参りません。

 現在も青森県内に遺留されている巨大球体の残骸は大変な高線量であり、人間が生きて近付くことすらままならない数値だそうであります。それほどの汚染源の処理方法を速やかにまとめ上げることが出来るなど到底考えられません。案の定と申しましょうか、昨日の所信表明演説では具体策は全く示されませんでした。

 私は、このような空手形からてがたを切って国民や国際社会に対しあたかも汚染源及び汚染水の処理が可能であるかのような幻想を抱かせる政府の方針に、この場ではっきりノーを突き付けます。

 国民、そして国際社会は、何よりも真実を希求しております。本件災害の発生及び処理の過程において、政府は全く国民と国際社会の信用を失いました。失われた信頼を取り戻すことは容易ではありません。今からでも遅くないので、政府は事故処理の過程においてなされた意思決定の経緯を開示し、国民の皆様方及び国際社会の信頼を取り戻すよう努力すべきであります。私は、汚染源及び汚染水処理について、漏出した放射性物質の半減期を踏まえ、科学的見地に立ち、根拠明確なロードマップを示されることを希望します。(「そんなこというんだったらお前がやれよ」と呼ぶ者あり)

 我が国の将来を思えば、総理が甘言をもって国民を騙し続けることを我々は良しと致しません。


 次に、今後の復興の鍵を握る経済対策について伺います。

 総理は、昨日の所信表明演説において、自衛隊の人員拡充及び耐放射線装備の新規開発及び当該技術の民生品への活用により雇用を創出するとおっしゃいました。このような決定は、既に失われている我が国の国際的信用を更に貶めるだけではなく、近隣諸国家に、我が国に対する脅威や無用の憎悪すら抱かせる恐れがあるのではないかと危惧致します。

 いみじくも総理がおっしゃったように、我が国は、本件災害に対する対処を巡り、国連から一部国土の国際管理について提案を受けるという、非常な難問を突き付けられたわけであります。総理は、外交努力が奏功してその事態を回避できたことを自画自賛されましたが、今後汚染水処理及び汚染源処理が急速に進展する見込みがないことを考えますと、この一見軍拡ともいえる政策が我が国を国際的に孤立に追い込む可能性が大いにあります。先ほども申し上げたように、総理が汚染水及び汚染源処理に関して定見をお持ちでないことは所信表明演説の内容からも明らかであり、根拠に乏しい希望的観測をその場限りで口走っているに過ぎません。このままでは国際公約が果たされず、国際社会で依然くすぶっている甲信越地方以東の汚染区域の国際管理問題が再燃することは火を見るより明らかであります。私は、総理が今後再燃するであろうこの問題を、軍事力の拡充によって解決するおつもりなのではないかと疑い、危惧しております。

 国民に対しては雇用の創出や耐放射線装備の民政分野での活用など耳に心地の良い甘言を弄しながら、そのじつ増強した軍備を背景に国際社会を恫喝し、武力をちらつかせて汚染水流出に起因する国際的批判を躱そうという狙いがあることは明らかであります。これは独り私だけの妄想ではありません。(「妄想だろ」と呼ぶ者あり。議長「静粛に願います」)

 現に世界各国の主要メディアは、我が国の防衛予算拡大をそのような文脈で捉え、報道しております。

 我が党は、そのような総理及び政府与党の軍拡路線を阻止することを、国民の皆様方に約束致します。防衛予算の拡充が我が国に利することなど現状では何一つないということを、この際声を大にして申し上げます。

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