再会
「な、なななななな!?どうして!?」
「まあ、こっちが聞きたいんだけどね」
「あら、昨日の痴女じゃないですか」
「ち、ちちちちちちち!?」
紙袋を持った少女は、ステッキから「ゆか」と呼ばれて居た少女であった。
今はひらっひらのふりっふりな衣装を見にまとってはおらず、地味な制服を着ていた。そして胸元に2-Cとだけ印字されたバッヂ。なるほどどうやら中学生らしい。
「おい…お前いると話進まないからちょっと消えといてくれ」
「えー……はいはいわかりましたよーだ」
そう言ってサラサラと砂のように空気中に舞っていくアイ。粒子状に分解されたアイの身体は、もう大気に溶けてたかのように消え、人の目には見えなくなった。
「え?え?消え?」
「ま、とりあえず君も聞きたいことがあるだろう?」
「え、あ、は、はい」
アイがいきなり目の前から消失したことに困惑する「ゆか」。多分、彼女も基本的なことは理解しているのだろう。魔力のあり方やその性質。
それらのことを知っているが故に彼女はアイが消えた理由がわからない。
中途半端に魔力について理解していると、アイの存在は完全に矛盾そのものであるため、それは仕方のないことなのだが。
「ま、そりゃ驚くわな。まあそれはおいおい説明するとして……あの喋るステッキは今いるのかな?」
「あ……今は寝てます…」
そう言って目の前にステッキを出現させた。
「ん、……確かに。昨日あった生体反応がないね」
「この人……あまり起きて居られないみたいで。本当に危険な状況以外起こすなって言われてるんです」
なるほど、と。
兎亜は密かにステッキを分析していた。能力的には
しかしわかるのはそれだけである。魔力性質やその機構を調べようとすると弾かれてしまう。
以前にも記述したように八神兎亜は異世界の神である。【神格】というスキルを保持し、人間のまま神に成った人類史上唯一の例外。
神である彼が読めないものである。ということはおそらくそれは彼以外の神が干渉した…
「
「え?」
「いやいや、なんでもないよ、こっちの話。」
そう言って独り言から慌てて意識を逸らした。
「それより、いいの?今がその危機的状況だとは思わないの?昨日君に攻撃してきたような男だよ?」
「あなたは……信じてもいいような気がするんです」
「……それはあれかい?女の勘とかってやつかな?」
「そう…なりますかね」
中学生で女の勘が身につくとは思わないが…。
「まあ、いいや。とりあえず場所を移そう。時間、空いてるかい?」
「え、あ、はいっ。学校に休みの連絡を入れてからなら…」
「そういや今日月曜か…あーめんどくせぇな。んー………まあいいか」
「あ、あの……」
「とりあえず学校の番号わかる?携帯貸すから学校に今日は休みます、って連絡入れといて」
「は、はい……」
そう言って兎亜は念話を使う。昨日通したパスを使って、である。まさかこんなにも早く使うことになるとは彼自身も想像だにしなかったであろう。
(おい)
(あら、兎亜さんですか?)
(あぁ、今学校か?)
(そうですけど……どうかしました?)
(ちょっと今日休めるか?こっちに来て欲しい)
(はい。わかりました)
そう言って念話を切る。
「さて、そっちも終わった?なら行こうか」
「はい……あの!」
「ん?」
「チャ、チャック……」
兎亜は股間に視線を向けると全開に開かれている窓。
(プププwwwwご主人恥ずかしいwww)
わざわざ煽るためだけに念話してきたアイを後で殴ると決意して、チャックを閉めた。
そして彼らはどこかゆっくりできそうな場所へ移動するのだった。
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