とうてつ




木枯らしに枯れない僕が

植物ではありえなかったこと

知ったのはおととしの秋でした

夏になっても水を飲まずにいた

神話みたいだった君のこと

理解するなんて到底無理です


僕のあばらはだんだんに痩せて

雨まじりの風を透してしまうって

そんなふうに嘆くことができたなら


かぼそい糸の向こうの方で

寒いと叫んでいる声があります

髭面のだれかの徹底抗戦

雨まじりの風は寒さより

大切なものを抱いているはずでした

聞けたなら

触れられたなら

そんなふうに嘆くことができたなら

きっと満足だったのかもしれません



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る