蟹のなかみが白色で、あなたのなかみが赤色で




蟹の胎から死体が産まれる

。無数の魂の結実として彼

と彼と彼と彼達が、潮の雑

じらない真水の末へ片脚を

失くした彼が産み落とされ

てゆく。極彩色の偽物の魚

共が木の上で泳ぐように、


そうして透明の糸が鉛を模倣して、

絡みついて巻きついて抱き着いて、

「愛しています君のことを魚のことを

 この指が赤い、赤い指でありたい 

 二度とはもう辿り着けない赤い国へ

 行きたい会いたいけれどもう見たく

 もない腐り落ちて腐り落ちて腐り落

 ちて繋がれて、いる」 だなんて。


あなたのなかみが赤色で、

蟹のなかみが白色で、

あおい色など何処にもなくて虹色の、

どこが抜けたのか君には分からない。



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