車窓、そして夏の雲




ほら、もう夏の雲


老夫婦がそう言ったので

隣に座っていた少女と

そのまた隣の

僕は

同時に向かいの窓を見た


ああ、ほんとうだ


僕は少し恥ずかしくって

すぐに手元へうつむいたが

隣の少女はまだ

窓を見据えているようだった


また顔をあげれば


これでもかというくらい

白い雲だ



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