旅人語るには

形ない水のようにと生きるのならば

ただの窪みに消えることもあるのだと

覚えていなくてはいけません


留まらないことを美徳とするならば

川はいずれみんなまざってしまうのだと

知っていなくてはいけません


清く在りたいとうそぶくならば

泥のある場所にこそ魚が育つのだと

分かっていなくてはいけません


それでも人は

果てない旅人に憧れるのでしょう

何処までも

独りきり

透明な心を持った旅人に


そうですね

わたしたちのゆく道は

あの水の流れによく似ています

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