雨は降っている

春 静かに 雨は降る


眼鏡のレンズに雫がおちて

はじめてそれに気づく


博愛は無関心によく似ていて

おなじものなんじゃないかと思うくらい

かなしく頭上にたれこめる


小さな水溜まりがつくられて

まるい波紋がうまれていく

誰もふりかえらない

くらいアスファルトの灰色のうえ


愛するものを守ろうとして

他のなにかを傷つけなければならなくて

きっとそんなとき

迷わないことこそを愛と呼ぶ


濡れた路面を蹴る人びとの

すべてに雨は降っている

まっすぐな雨が降っている


遠い街の誰かの上には

今夜も星が光るのだろうか


春 静かに 雨は降る

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