ご飯が進むトマト玉子炒め


「よし、とりあえずトマト料理を作ろう」

「ユーリ、いきなりどうしたの?」

「えー?だって、マリアさんが唸ってるから、トマト料理必要かなって……」

「……あー……」


 悠利ゆうりの発言に、ヤックは遠い目をした。

 彼らの視線の先では、台所で不機嫌そうに唸っている絶世の美女がいた。妖艶美人と言っても過言ではない見た目のマリアは、そのお色気満載といった雰囲気を裏切り、ゴリゴリの武闘派だった。武闘派どころではない。どう考えてもバトルジャンキーだ。

 勿論、マリアだって意味もなく仲間達に襲いかかるようなことはしない。よっぽど戦闘本能が抑えられなくなった場合は別だが、それでも普段はそれなりに制御をしている。後、トマトやトマトジュースを与えると大人しくなる。

 今日は確か何らかの仕事をしに外に出ていたはずなのだが、戻ってきてからずっとあんな感じで唸っている。トマトジュースを飲んでいるけれど落ち着かないらしい。もとい、トマトジュースで抑えているから唸る程度で収まっているのだ。

 なので、そんなマリアに追いトマトをする方が良いと判断した悠利だった。丁度美味しいトマトをたくさん買ってきたので、夕飯に一品加えても問題ないと判断したのだ。


「と、言うわけだから、トマトの玉子炒めを夕飯のメニューに追加します」

「トマトの玉子炒め?」

「簡単で美味しいよ。名前のままなんだけどね。トマトを炒めて玉子と絡めるだけっていう」

「本当にそのまんまだった」


 思わず呟いたヤックに、そのままなんだよねぇと悠利は笑う。しかし、実際お店のメニューでもトマトの玉子炒めとして書かれていることが多いので、細かいことを気にしてはいけない。むしろ、解りやすくて良いはずだ。


「必要なのはトマトと玉子だけだから、簡単なんだよ」

「へー。他に具材はいらないんだ?」

「うん。少なくとも僕は入れないかな」


 のほほんと笑いながら、悠利は冷蔵庫から取り出したトマトを流しに置いていく。悠利がトマトを運んだはしから、ヤックはせっせとトマトを水洗いしている。助手も板に付いてきている。

 トマトを洗いながら、傷ついた部分や汚れがないかをしっかりと確認する。幸い、皮に目立った傷はなかったので、そのまままな板の上に置いていく。まるで流れ作業のようだ。


「トマトは、あんまり小さく切ると崩れちゃうから、くし形にするね」


 悠利は慣れた手付きでトマトをくし形に切っていく。切ったトマトはフライパンに直接放り込む。あっという間にフライパンが真っ赤になった。

 トマトの玉子炒めなので、準備するのはトマトと玉子。つまり、次の準備するべきなのは玉子だ。


「ユーリ、この玉子、普通に混ぜて大丈夫?」

「大丈夫だけど、その前に味付けするから待ってー」

「了解ー」


 ぱかぱかと注ぎ口の付いたボウルに玉子を割っていたヤックの質問に、悠利はストップをかけた。玉子を混ぜるために菜箸に手をかけていたヤックは、素直に動きを止める。

 ヤックが止まったのを確認して、悠利はボウルの中へと調味料を入れていく。本日使うのは顆粒の鶏ガラ、塩をメインに、胡椒や醤油も少しずつ。気持ちしっかり目に調味料を入れる悠利を、ヤックは不思議そうに見ていた。


「ユーリ」

「なーにー?」

「そんなに調味料入れたら、味が濃くならない?」

「玉子と混ぜるから、少し濃いめの味付けにしてるんだよ」

「あ、そうなんだ」

「そうなんだよー。トマトは水分が多いしね」

「なるほど」


 疑問が解けてすっきりしたのか、ヤックは満足そうに頷いた。そんなヤックに、悠利はにこにこと笑っている。ヤックの成長が解って嬉しいのだ。

 そう、ヤックは成長していた。悠利が調味料を入れるのを見て、それが入れすぎだと思えるようになっているのだ。大進歩だ。目分量で入れられている調味料がいつもより多いか少ないかを判断出来るのは、彼が料理に馴染んだ証拠である。

 勿論、トレジャーハンターを目指す見習いであるヤックに、本格的な料理の知識など必要ない。必要ないが、自分のことは一通り出来てこそだ。そういう意味では、料理の腕が上がるのも悪いことではない。

 何せ、独り立ちしたとして、野宿のときには自炊を強いられる。また、拠点を手にしたとして、炊事当番が回ってくる可能性はある。そういう意味でも、ヤックの成長は褒めるべきものだ。

 閑話休題。


「それじゃ、玉子をしっかり混ぜます」

「おー」


 頑張ってねと言われて、ヤックはせっせと菜箸で玉子を混ぜる。カチャカチャと音をさせながら玉子を混ぜる手付きも、随分と手慣れていた。成長がそんなところにも見える。

 玉子がしっかり混ざったのを確認すると、ヤックは悠利へと視線を向ける。


「ユーリ、玉子混ざった。次は?」

「次はトマトを炒めます」

「トマトを炒めるのって、あんまりやらないよね?」

「そうだねー。キュウリとオーク肉と一緒にポン酢で炒めるやつ以外、やってないかも」


 ヤックの指摘に、悠利は記憶を探りながら答えた。トマト料理はそれなりに作っているが、確かに炒めるのはあまりやっていない。

 そんな悠利に、ヤックがぼそりと呟いた。


「てか、そもそもトマト、生で食べるし」

「冷やしたトマト、美味しいもんねー」

「うん、美味しい」


 ヤックの意見に悠利も賛同する。夏のトマトは旨みたっぷりで美味しいので、冷やしてそのまま食べるだけでも十分だ。

 しかし、そればっかりでは飽きてしまうので、今日は少し毛色を変えて玉子炒めにするという三段なのである。料理の可能性は無限大だ。


「使うのはごま油。フライパンに入れたトマトにぐるーっとかけて、ゆっくりと炒めるよ」

「ゆっくり?」

「中火ぐらいかな。トマトはあんまり触ると壊れちゃうから、気をつけてね」

「解った」


 トマトの水分とごま油が混ざってフライパンの中でバチバチと音を立てる。けれど、同時に食欲をそそる匂いが漂ってきて、ヤックは興味津々でフライパンを覗き込んでいる。

 しばらく火にかけていると、トマトの皮の部分がへにゃりとする。火が通ってきた証拠だ。ゆっくり、ゆっくり、トマトを壊さないように菜箸で混ぜて、全体に火を通す。

 トマトの皮が柔らかくなり、全体的に角が取れた感じになったのを確認すると、そこへ玉子を投入する。全体にしっかりとかかるように、くるーっとボウルをフライパンの上で移動させながら入れると、黄色と赤が混ざって何とも言えない鮮やかさが広がった。

 途端に、玉子がごま油で焼ける良い匂いが漂う。


「……めっちゃ良い匂いしてる」

「ごま油と玉子の相性は抜群だからねぇ」


 あははと小さく笑いながら、悠利はじっとフライパンを見ている。玉子を入れてすぐは触ろうとせず、見ているだけだ。

 悠利が動いたのは、玉子の端っこが固まりだしてからだ。それを確認すると、ヘラでそっと玉子を混ぜる。トマトと一緒にゆっくりとフライパンの上を移動させ、火を通す。

 玉子とトマトがバラバラにならないように、玉子が細かく崩れてしまわないように気をつけながら、全体を混ぜ合わせる。きちんと玉子に火が通ったのを確認したら、完成だ。

 フライパンの中身をそっと大皿の上へと流すように移せば、トマトの玉子炒めの出来上がり。


「はい、出来上がりー」

「めちゃくちゃ良い匂いする」

「するねー」


 にこにこ笑いながら、悠利はトマトの玉子炒めを少しだけ小皿に取る。そして、そっとヤックに手渡した。

 味見だと解ったヤックが、ぱっと顔を輝かせて小皿を受け取る。まだ熱いのでふーふーと息を吹きかけてから、口に運ぶ。

 口に入れた瞬間に広がるのは、玉子の柔らかさだ。味付けに使った鶏ガラと塩の風味がよく利いていて、ふわふわで、とても美味しい。そしてそこに、しんなりとしたトマトが絡んで、優しい調和を繰り広げる。トマトの旨みがたっぷりと玉子に溶け込み、絡み合い、美味しさを広げているのだ。

 ふわふわした玉子と、若干食感を残したしんなりしたトマト。柔らかいのに時々トマトの歯応えが残っていて、実に不思議な感じだった。


「美味しい」

「美味しく出来たねー」


 自分も味見をしていた悠利は、ヤックの短い感想にのんびりと応えた。ふわふわ玉子のトマト炒めが上手に出来てご満悦だった。

 なお、ヤックの感想が短いのは、何をどう言えば良いのか解っていないからだ。食レポは結構難しいので、ちゃんと出来る人は《真紅の山猫スカーレット・リンクス》でもそうそういない。大抵の人は美味しいで終わる。


「それじゃ、もう一回作るよ」

「了解!」


 悠利の 宣言に、ヤックは素直に返事をした。料理が料理なので、一度に大量に作ることが出来ないのだ。なので彼らは、二度目のトマトの玉子炒めに取りかかるのだった。

 人数が多いとこういうことが起こります。まぁ、割といつものことです。




 さて、そんなこんなで本日の夕飯。

 結局、マリアはあれからずっと食堂スペースで唸っていた。トマトジュース片手にひたすら唸るマリアを、一同は触らぬ神にたたりなしとばかりに遠巻きにしていたのだ。

 それでも、食事の時間ともなれば多少は機嫌が落ち着くのか、席に着くマリアは普通の顔をしていた。とはいえ、時々グラスがミシッと音を立てているので、油断は禁物だ。彼女の鬱屈はまだ発散されていないようなので。

 皆が和気藹々と食事をしている中で、一人黙々と食べているマリア。そんな彼女の前に、悠利はそっとトマトの玉子炒めが入った大皿を置いた。


「ユーリ?」

「マリアさん、好きなだけ食べてください」

「え?」

「それ、大皿一つマリアさんの分です」


 にっこりと笑う悠利。言われてマリアも、テーブルを同じくしていたクーレッシュとレレイも、気づいた。何故か彼らのテーブルにだけ、トマトの玉子炒めの大皿が二つあることに。


「あ、それ、マリアさんの分だったんだ?」

「そうだよ。だから、レレイはこっちの皿から食べてね」

「了解ー」


 元気に返事をして、レレイは言われた方の大皿からトマトの玉子炒めを取り分ける。ソレを見て、クーレッシュが呟いた。得心がいったと言いたげに。


「……三人で一皿なのに分量が他と変わらないのは、レレイ対策か?」

「……正解」

「まぁ、そんなところだよな。おいレレイ、俺とユーリの分も残せよ」

「解ってるよー」

「食事に関するお前の解ってるほど、アテにならないもんはねぇんだよ」

「ひどーい!」

「ひどくない」


 いつも通りのやりとりを繰り広げる二人を横目に、悠利はマリアの様子を窺っている。大皿で進呈されたトマト料理(それも、マリア用ということで他よりもトマトの比率を多くしている)を見たマリアは、嬉しそうに微笑んでいた。

 そして、ぱくぱくと美味しそうに食べている。トマトを口に運ぶ度、マリアの表情が綻ぶ。やはりトマトは彼女に対する特効薬なんだなぁと思う悠利だった。

 玉子とトマトの旨みが混ざり合い、口の中で優しく踊る食感を楽しむマリア。感想を口にすることはまだないが、箸が止まらないのを見れば彼女がこの料理を気に入ってくれたのは一目瞭然だ。

 マリアの姿を見て一安心している悠利の耳に、元気な声が届いたのは次の瞬間だった。


「ユーリ、ユーリ、大発見!」

「何?どうかしたの、レレイ?」

「これ、ライスに載せるとメチャクチャ美味しい!」

「……はい?」


 見て見てと言いたげにレレイは自分の茶碗を示した。ご飯がたっぷりと入った茶碗に、トマトの玉子炒めが乗せられている。真っ白なご飯の上に、黄色と赤が綺麗に咲いていた。


「……えーっと、レレイ?」

「これをね、一緒に食べると本当に美味しいよ!あとね、お皿に残ってるスープをかけると完璧!」

「……そっかー。良かったねー」

「うん!」


 とりわけ用の大きなスプーンで、大皿の底に残っている水分をよそったらしいレレイは、ご満悦だった。なるほど、丼かーと悠利はレレイの発想に感心した。食に関して、彼女は時々素晴らしいひらめきを発揮する。

 はぐはぐと丼にしたトマトの玉子炒めを、白米と一緒に口にかっ込む姿は、実に豪快だった。美味しい美味しいと言いながら、次から次へと平らげていく。

 そこで、悠利はハッとした。見ているだけでは確実に食いっぱぐれる、と。


「レレイに全部食べられちゃう」

「気づくのが遅い」

「まさか丼にして食べ始めるとか、思わなかったんだもん」

「こいつ、本当によく食うよな……」

「食べるの大好きだもんね……」


 レレイの手が伸びる前にと、悠利とクーレッシュは自分の小皿にトマトの玉子炒めを取り分けた。ぺろりと茶碗の中身を平らげたレレイは、お代わりしてくるーと元気に炊飯器の元へと移動していた。

 そのレレイの行動はいつものことだが、同じようにお代わりに来た面々に彼女が丼にしたことを伝えると、幾人かが同じように実行し始めた。美味しそうと思ったら実行する。それが《真紅の山猫スカーレット・リンクス》の日常だった。

 いつの間にやらおかずが丼になっていたが、まぁ良いかと悠利は気にしないことにした。皆が美味しく食べてくれているなら、それが一番なので。

 皿に取り分けたトマトの玉子炒めを食べた後、少し行儀が悪いと解りつつも、残ったスープをそっと飲んだ。皿に口を付けて飲むのは行儀が悪いと思うのだが、勿体ないと思ってしまったのだ。

 その考えは当たっていて、トマトから抜け出た水分で作られたそのスープは、料理の旨みをぎゅっと濃縮させていた。確かに、これをご飯にかければ美味しくなるだろうと思えるほどに。


「……レレイの本能って怖い」

「だから、アイツの食い気はやべぇって言ってるだろ」


 しみじみと呟いた悠利に、クーレッシュは面倒そうに答えた。安定のレレイだった。

 そんな二人の会話に口を挟みもせず、マリアは黙々とトマトの玉子炒めを食べていた。大皿を一人であてがわれたのだが、物ともせずに食べ続けている。よほどお気に召したらしい。

 そして、綺麗に大皿のトマトの玉子炒めを完食すると、マリアはそこでやっと口を開いた。


「ユーリ」

「はい?」

「とても美味しかったわ~。ありがとう~」

「いえいえ、お口に合って良かったです」


 全部食べたわよと微笑むマリアに、悠利も笑顔を返した。美味しく食べて貰えるのは料理人冥利に尽きるというものだ。そして、自分が作った料理でマリアの機嫌が落ち着いたというのも、悠利には嬉しいことだった。


「ねぇ、ユーリ」

「何ですか、マリアさん」

「トマトジュースや生のトマトも美味しいし好きだけど、貴方が色々作ってくれるトマト料理、本当に好きよ」


 いつもありがとう、とマリアは続ける。ぱちくりと瞬きを繰り返した悠利は、へにゃっと笑った。


「それが僕の仕事なので。でも、そう言って貰えると嬉しいです」

「ごめんなさいね~。気を遣ってトマトにしてくれたんでしょう?」

「あはは……。 ……だって、マリアさんずっと唸ってたから……」


 ちらりと色気のある流し目を向けられて、悠利はすっと視線を逸らした。お色気仕草に負けたわけではない。単純に、食堂スペースでひたすら唸っていたマリアの恐ろしさを思い出しただけだ。悠利はある意味ポンコツなので、マリアのお色気を気にしないのだ。


「俺らが帰ってきたときも唸ってましたよね?マリアさん、何かあったんですか?」

「今日は近隣の駆除依頼に行ってたの」

「ですよね?戦闘系の仕事だから、てっきりストレス発散して帰ってくると思ってたのに」

「それです、それです。なのに不機嫌だったから、驚いたんですよ?」


 クーレッシュの質問に、マリアはぼそりと返事をした。彼女の本日の仕事内容を知っていた二人は、だからこそ何でマリアが不機嫌だったのかが解らない。バトルジャンキーのマリアに相応しい、暴れれば良いお仕事だったはずなのだ。

 そんな二人に、マリアはため息をついてから口を開く。……なお、非常に悩ましげなため息だったので、クーレッシュはそっと目を逸らした。このお姉さんは存在が青少年には目の毒すぎる。


「だって、女性に荒事はどうのとか言われて、なかなか大物に向かわせてもらえなかったんだもの!」

「「……うわぁ」」

「私、ちゃんと自分の職業ジョブも説明したのに、初対面の人ばかりだから少しも理解してくれないのよぉ!」


 暴れたりなかったんだもん!とマリアは机に突っ伏して呻いた。まるで子供みたいな仕草だが、内容を聞いた悠利とクーレッシュは原因が解ったので遠い目をするしかなかった。

 思いもしなかった理由だが、確かによく考えれば、マリアの見た目でゴリゴリの武闘派で前線を楽しむバトルジャンキーとは思えない。重ねていうが、彼女は細身でセクシーな妖艶美女なのだ。

 ちなみに、彼女の職業ジョブは狂戦士。その名前の通り、前線で戦うことを生業にしている。しかし、これほど説得力のない職業ジョブも、ない。外見詐欺もいいところだ。

 不幸なすれ違いだったんだなぁ、とクーレッシュが呟く。優しさだったんだろうけどねぇ、と悠利が応えた。良かれと思ってマリアを労ってくれた人々は、何も悪くない。ただ、マリアが色々がっかり残念仕様なバトルジャンキーだっただけで。


「それで、不完全燃焼だったから、戻ってきてからも唸ってたんですね?」

「そうなの……。手合わせをお願い出来る相手もいなかったから、トマトジュースを飲んで落ち着こうと思って……」


 一応、自分で制御しようと頑張ってみたのだろう。中途半端に戦闘をしたことで持て余した戦闘本能を、トマトジュースでリセットしようとしたのだ。話をきちんと聞けば、マリアが頑張っていたことも理解出来る。

 あと、今日の彼女がどうしようもなく不運だったというのも。星回りがあまりにも悪すぎた。


「次は、ちゃんと暴れられるお仕事だと良いですね」

「今度は、遠慮しないで最初から前に出ることにするわ」

「ワー、頑張ッテクダサイネー」


 拳を握り宣言するマリアに、悠利は棒読みで告げた。あんまり深いことは考えたくなかったので。

 ダンピールさんも色々と大変だなぁと思いつつ、トマト料理の頻度を増やそうと考える悠利だった。トマトを出すだけで落ち着いてくれるなら、安いものだ。最悪、生のトマトを山盛り進呈しても彼女はきっと怒らない。

 決意に燃えるマリアを尻目に、明日の献立何にしようかなーとのんびりと考える悠利なのでした。




 ちなみに、マリアに善意で下がるように促した人々は、事情を知った他の面々に「今度からはあの女を好きに暴れさせておけ」と言われたのだった。その方が仕事も速く終わるので。


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