12#あのカワウを助けろ!
一羽で杭の上で立ちすくむカワウのレセは魚?が泳いでいるのを見つけた。
おなかがすいたので潜って取った。
捕まえると、突然あの可愛そうなオオタカさんにあげようと思って、まだあの時の痛みの残る羽根を広げ、飛び立って追いかけた。
バタバタバタバタ・・・
グキィ!
が、突然また羽根が痛み出した。
・・・イタッ!
それでもカワウのレセは、オオタカのピムに『魚』をあげようと必死に追いかけた。
レセは追いかけてるうち、翼の痛みをこらえて飛ぶことに気が入りすぎて、高度をどんどんどんどん上げ続けた。
が・・・
更に高度を上げる途中で、レセは失速していった。
どんどん失速していくカワウのレセ。
やがて・・・!
「レ・・・レセちゃんが!!つ・・・墜落してる!!」
その光景を目にした干潟の野鳥たちは大騒ぎになった。
レセは余りの痛みに気を失っていた。
「このままでは地面に激突してしまう・・・!」
「きゃああああああ~~~~レセちゃ~~~~ん!!」
「嗚呼!もうダメだ!!」
皆が目を背けた。
その瞬間・・・!
突然空の向こうからオオタカが・・・ピムだ!
地面すれすれで子カワウのレセを鋭い脚の爪で救い上げた。
「みんな!だましてごめん!!」
下の干潟の連中は良かった!助かった!と歓声が上がっていた。
一度離れていった助太刀の野鳥達は、この騒ぎでまた戻ってきた。
「オオタカだ!」
「オオタカがカワウを助けた!」
でも喜ぶのはまだ早かった。何故かこのオオタカのピムときたら脚の握力が他のオオタカよりなかった!!
「お願いだ~風船を、風船をここに集めてくれ~」
オオタカのピムはもう脚がしびれてカワウを落としそうだ。
「オオタカが大変だ!」
「あのオオタカを助けろ!」
干潟の連中と、助太刀の野鳥達は今さっき膨らました風船を集めた。
ドバトのポポ姉さんは部下に言った。
「あのカワウの子が下のゴム風船の真ん中に無事落着する為にフォローしなさい!ぽっぽぉ!」
「さあ落とすぞ~」とピムはレセに言い聞かせた。
カワウのレセはオオタカのピムの脚から離れて下の風船にまっさかさま。
ひゅーーーーーーー・・・
子カワウのレセは、気絶したまま干潟に敷き詰められた風船の山に向かって墜落していく。
「レセちゃんと風船との落下地点がずれてるわ!早くフォロー急げ!ぽぉっぽぉーーーーーーー!!」
ドバトの部下は慌てて子カワウのレセに羽根をばたつかせた風圧で、高度調整をする。
「しまった!また高度が若干ずれた!」
ドバトの部下が行っても間に合わない!
「うわ~っ!」
誰もが目を覆った。
ボスン!
水しぶきが上がった。
パァン!パァン!パァン!
墜落した子カワウのレセの下敷きになった風船が、何個か重みでパンクした。
「レセちゃ~~~~~~~~ん!」
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