異世界アイドルプロデュース

@mochinokado

第1話 事件は突然に

やたらと楽屋の外が騒がしい。

「何だかやけに騒がしくないか?」

誰に答えを求めたわけでもないが素っ気ない返事が返ってくる。

「そうですかぁ?」

彼女は今私が担当しているアイドルの高坂姫乃である。

すると次の瞬間。

ガチャ!と勢いよく楽屋の扉が開かれる。

見た感じスタッフや関係者ではなさそうな男が1人立っていた。

「どなたですか?スタッフか関係者の方ですか?」

「姫乃ちゃん!!」

息を上げながら男は姫乃の方に猛突進した。

しかし、姫乃はそれを軽々しく躱してプロデューサーの後ろに隠れた。

楽屋に押し入ってきた男は、テーブルや椅子を巻き込み倒れ込んだ。

「くそぉ!」

男はポケットからナイフを取り出すと今度は、姫乃目掛けてナイフを向けて猛突進してきた。

避けると姫乃にナイフが刺さってしまう。

「避けられねぇえええ」

その刹那、懐にナイフが刺さるのを感じた。

刺された所からは湧き上がる泉の如く血が溢れ出していた。

倒れこむと同時に部屋にスタッフと警備員が入ってきて男を取り押さえて部屋から連れ出していくのを目の端で確認できた。

しかし、意識が遠くなってきた。

「プロデューサー!プロデューサー!」

姫乃が泣きながら近寄ってきた。

しかし、そんな彼女の声も段々と遠くに聴こえる。

視界に靄がかかり、段々と暗くなっていく。

「くそぉぉ、こんなとこで死ねるかよぉ」

そして、目の前が完全な暗闇に包まれる。

深呼吸すると、紙の匂いと埃を吸い込んでしまった。

咳き込んで目を開けると、目の前には山積みの紙の束と机の上には、定規らしきものとペンが置いてあった。

「何だこれ…」



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