ライティング!ヒーローズ

ドヴァクマ

翻弄!ウィップワイプ 「マイティ・ヴェノム三人衆」

「ビリリリ」

電撃が走る。

「ビリリリリリン」

電源ケーブルは波を打ち空中を舞う。

だが、暫くたつと灰になっていった。

「くっそ、どこで間違ったか」

電気技士である"マーク"にとって電気の扱いは手馴れた物だった。

ただ、ある目的の為には毎日トライアンドエラーの繰り返しである。



「街にヴィラン発生、彼らは学校に立て篭もってます」

ブルル。

ガシャアアアアン。

パリイイン。

「助けてーーー!」

「騒ぐな!雛共が!」


「我々の開発した新兵器"マイティ・ヴェノム"はいかがかな!」

金髪の男がカメラに向かって不敵な笑みを浮かべる。

「最高の力だぁぁぁぁ!!」

ジェイソンマスクを被った大男と、禿げている壮年の老人が校舎を破壊していた。

「これを見ている世界の紛争地帯の国々へ告ぐ!我々は取引をいつでも受け付けているぞ!しかるべきルートでな!」


「待て!」

空中のヘリコプターから降下する兵士が一人。

その兵士は軍の作った装甲パワードスーツを着ていた。

「ボイチェン?ああ、ジェスティス・スーツか」

金髪の男は彼の事を知っていた。

「ジャンカー!いい加減にしろ!」

兵士は装甲に包まれた体でタックルをジャンカーこと金髪の男に仕掛ける。

「ぐぉ・・・・・・、不意打ちは卑怯だな!やれ!ジェイソン!」

「ああ、そうだな」

背後に居た大男にジャスティス・スーツは鉄筋で殴られてしまう。

「ぐぉぉぉ」

ジャスティス・スーツのボイスチェンジャーを通した低い声が響き渡る。

「さっさと始末してしまおう」

老人は大きなガラスの破片を手に持ちジャスティス・スーツの喉元に向かって大きく振りかぶる。

「ぐぉぉぉ!」

抵抗しようと暴れるがスーツから白い煙が出るばかり。



一方その頃、SNSや治安維持特殊部隊の本部には抗議が殺到していた。

「ジャスティス・スーツは、またも失敗か!今度の"アクター"も死ぬんじゃないか?」

ジャスティス・スーツには聞こえないが各地でジャスティス・スーツに対して罵声が浴びせられた。

それもそのはず、ジャスティス・スーツが事件をまともに解決できたことは少ない。



とはいえ、命を張っているジャスティス・スーツからしたら溜まったものじゃない。

そろそろ命が尽きようとしてる。

ジャスティス・スーツは恐怖で気を失っていた。

もう彼の命は無いものと皆考えていた。

その時だった。

カチン。

何か引っかかる音。

「なんだ!?」

老人は思わず振り向く。

すると視界には見慣れない男。

「カウントダウン開始だ!」

見た目は技師の被る安全マスク。

そして軽い装甲が取り付けられている下着に羽織った革のジャケット。

「誰だ!」

「耐えれたら答えてやるよ」

バシン!

電気の走る音と共にその瞬間老人は意識を失った。

「貴様!よくもヴィガーを!」

「あら、そいつは普通の名前っぽいな」

ジャンカーは怒りを露にし、横に居たジェイソンと共に殴りかかろうとする。

「いかん、息がしにくい、すぐ終わらそう」

マスクの男が手元のスイッチを押すとヴィガーに取り付けていたワイヤーが外れる。

すぐさま、ジェイソンの腕にワイヤーを飛ばして巻きつける。

ある程度自動で巻き付きに行くようだ。

バシン!

ジェイソンに確かに電撃が走ったが、一瞬ふらつくだけで効いていない。

「クソ!」

電圧を高めた上で常時電流を流し続ける。

ここまですれば、ジェイソンにも電流はある程度効いているが

「ふん!俺を捕まえる手段はあるかな!」

ジャンカーを止める手段が無いとジャンカーに悟られているようだった。

「まずい」

その瞬間、マスクの男はジャンカーに殴られ、5m程先の壁まで打ち付けられる。

「ぐぉぉぉ・・・・・・」

「さて、動けるかな?」


(まずいぞ・・・・・・!)

辺りを見渡しても誰も助けてくれそうに無い。

ジェイソンとジャンカーが不敵な笑みを浮かべながら近づいてくる。

「これしかないか・・・・・・」

立ち上がれない程のダメージを受けた体ではワイヤーを出すのがやっとだ。

ジャンカーに向かってワイヤーを飛ばす。

「なんだ?そんなのすぐ避けれるぞ!」

「ああ、そうだとも、そうじゃなきゃ困る」

ジャンカーが避けた先にいたのは、ジャスティス・スーツ。

バチン。

「ふわああ!?」

ジャスティス・スーツは、目を覚ました。

「全国中継されてる中でお昼寝ご苦労さん、俺は見ての通りだから、頼んだぜ・・・・・」

マスクの男は気を取られてるジェイソンの足にワイヤーを引っ掛け、電気を流しながら引っ張る。

ジェイソンは転倒しジャンカーを巻き込む。

「おいなにやってる!」


「状況はわからんが、手柄だ!」

ジャスティス・スーツは、動けない状態のヴィラン達をボコボコにした。

「ジャースティス!」

久しぶりの勝利を噛み締めるが、一人不満そうな顔。

といっても、顔はわからないのだが。

「・・・・・・、お前が居なかったら多分死んでたよな、起き上がれるか」

ジャスティス・スーツは、マスクの男の手を取る。

「いててて!」

ジャスティス・スーツはその姿を見て笑う。

「お前、名前は?」





「俺は【ウィップワイプ】、悪を消し去る男さ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ライティング!ヒーローズ ドヴァクマ @dovakuma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る