てのひらの孤独

心 淋しい夜の

子守唄は 遠い日の童歌


口遊むたびに 懐かしい母の

やわらかな匂いが漂うようで…

凍りつきかけていた胸に

熱い涙の兆し


歪みそうな視界を

唇を噛んで堪えるたびに

淋しさは円くなって

ビー玉の孤独を生み出す


いくつもの夜をそうして

体を丸めて耐えてきた部屋には

色とりどりに 淡く光を放つ

孤独の結晶が転がっているから


心 温まることのない夜は

てのひらに孤独を包んで眠る


孵ることのない

夢の卵を抱くように

微かな絶望を

胸の奥 滲ませながら…




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