『うさぎさんとかめさん』
やましん(テンパー)
『うさぎさんとかめさん』
ある日、うさぎさんとかめさんは、食品のバーゲンセールに仲良く出かけました。
どちらも体より大きな袋を、肩から引っぱっていました。
でも、かめさんは、なかなか前に進みません。
「かめさん、それじゃあ、バーゲン品がなくなっちゃうよ、もっと急いでくださいな。」
「なにをおっしゃる、うさぎさん。これでもう最高速度ですよ。もう、新幹線並ですから。」
「はあ、かめさんの新幹線では、東京まで何億年かかるやら。じゃあぼくがひとっ走り、先に行って買って来るから。」
かめさんを置き去りにして、うさぎさんはスーパーに向かって、猛スピードで走りました。
うさぎさんが到着した時、スーパーは、もう大混雑でした。
バーゲン売り場で、うさぎさんは大格闘したあげくに、なんとか欲しかった人参やら菜っ葉やら、お肉やらを手に入れました。
それから長い時間レジで待って、くたくたになりながらも、持ってきていた水筒にお水を入れ、ようやくスーパーを出ました。
そうして、うさぎさんは、また無事かめさんに出会いました。
かめさんは、まだ、スーパーまでの半分も来ていませんでしたが、もう、お日様に焼かれて、からからになっていました。
「やれやれ、かめさん、買い物はできたよ。ほら、これは君の分だからね。お代は帰ってからでいいや。」
うさぎさんは、かめさんにお水をかけてやって、それからふたりは、仲良く手をつないで、おうちまで帰りました。
うさぎさんは、その後、病気になって、あまり長生きをしませんでしたが、かめさんは一生けんめい看護をしてあげて、最後を看取りました。
かめさん自身は、もう100年くらい生きていました。
かめさんは、いつも、ひとりぼっちでしたが、うさぎさんのことを、なつかしく思い出しては、それを生き甲斐にしていました。
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『うさぎさんとかめさん』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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