『らららかがくのこ~多元宇宙間戦争』第五回星新一賞最終候補作

九頭龍一鬼(くずりゅう かずき)

らららかがくのこ~多元宇宙間戦争

序章

       序章


〈ああ地球だ地球はれいだな〉

 西暦一九六六年おおみそに放送されたしよくそうぜんたるアニメ版『鉄腕アトム』の最終回では二十一世紀某日しやくねつの太陽の核融合活動がうつぼつと活性化しきようかんとなった地球から人類が脱出する。ぎようこんだくのロボットだけになった地球上ではほうはくたる地球を支配せんとするナポレタンがロボットたちをおうさつせんとしはじめる。アトムはナポレタンをざんさんさせ太陽の核融合をていげんさせる弾頭を譲渡される。弾頭をそうてんした惑星間弾道弾に搭乗したアトムはつつがく太陽へとこうしようするがきゆうていたいりよの弾頭の弾道が湾曲してしまい弾頭を抱擁したアトムは神風特攻隊よろしく太陽に特攻する。に地球をふりかえったアトムはいう。〈ああ地球だ地球はれいだな〉と。十二歳の小学生としてりゆうらんしたことからてきとうたる科学者の道程をばくしんすることとなり〈研究所〉の所長となったものの結論は以下のとおりだった。

〈鉄腕アトムはいないんだよなあ〉


〈ぷいきゅあいるよ〉

 てんしんらんまんなるあいちゃんがひやくまん断言してもけんちゃんはしんぴようしなかった。丁度昨日四歳の誕生日にほうちやくしたのでとくあいをそそいでくれた両親がプリキュアからのメッセージ・カードをプレゼントしてくれたのだ。カードにはたしかごうされていた。〈あいちゃんおたんじょうびおめでとう。あいうえおがかけるようになったんだってね。おうえんしてるよ。キュア・ブラックとキュア・ホワイトより〉。〈あいうえおがかけるようになったこと〉をしっているのだ。プリキュアは実在するにちがいない。といえどもけんちゃんは説明する。〈プリキュアは漫画らよおれの叔父さんはアニメーターらっけん漫画かくがあよいっぱい絵をかくと絵がうごくっけんプリキュアもうごいてる絵んがあよ〉と。しばらく沈黙していると諦念したけんちゃんはとんざんした。せいひつとおすなあそびしながらきよどうこくし号泣する。

〈ぷいきゅあいるよ〉と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る