03
行きついた場所は優しい世界だった
暖かい生活
穏やかな日々
不便のない生活だった
与えられたものばかりで
見渡せばそこら中に幸福の転がっているその世界に 私は戸惑った
「ここは天国かもしれない。だってこんな世界が現実にあるわけない」
慰めに抱いた幻想が与えてくれた優しさだと思った
手を伸ばして触れてしまえば 儚く消えてしまうもの
見つめているだけで 満足
ただ遠くから眺めているだけで
どんなに待ち望んだものでも
心から喜べない
笑って受け入れてしまえば……
残酷に そっぽを向かれてしまうものだと
今まで生きて来た世界が そう語っていたから
「ここは天国なんかじゃないよ。本当の世界」
「今まで貴方が見ていた世界は、ただの一部分でしかないのよ」
「これも、それも、ただの世界の一部。特別なものなんかじゃないわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます